ウィーン大学の研究者は、レイブン(ワタリガラス)は必要に応じて協力しあえる社会性を持っているという実験結果を発表。10月7日に科学誌Natureにオンラインで公開された。
実験では、金網の向こうにある板が置かれ、板に固定されたネジの穴を通った糸の両方を引けば、板を引き寄せて板の両端に載せられたチーズを食べることができる(一方だけ引くと糸が抜けて板は寄せられない)。
ワタリガラスはとくに訓練を行なうことなく、また初めての組み合わせでも66%の確率で協力して問題を解いてそれぞれチーズを食べた。一度協力できた鳥は次に実験したときの成功率も高かったという。しかし、自分側だけ食べて相手が食べられるようにはしない、あるいは2個とも食べるずる賢い個体もいることがわかった。
報酬が不均衡になるケースを詳しく調べると、一度相手をだますことに成功した鳥は次も相手をだまそうとする。しかしだまされて食べられなかった個体は、とくに一度だまされた相手とわかると明らかに非協力的になるという(結果的に相手をだますタイプの個体は誰からも協力が得られなくなる)。
このように、経験によって協力できるパートナーとの関係を維持しようとする態度は、人間やチンパンジーでは見られるものの鳥では目新しいという。研究チームでは、相手の態度から協調性を学び、社会的協力関係の進化の考察として興味深いとしている。