Dennis van Zuijlekom(写真はイメージです)
光によって、コンピューティングは最終的に100万倍ほど高速になる──。
そう書いているのは、アメリカ・ユタ大学で電気・コンピュータ工学を研究しているラジェッシュ・メノン准教授。同大学の研究チームが開発している光子コンピューター技術について同大学の学内報で紹介している。
同チームが研究しているのは、プロセッサーに搭載するための超微細ビームスプリッターだ。これまで約100ミクロンほどだったビームスプリッターを2.4ミクロン、髪の毛のおよそ50分の1ほどに超小型化した。
光子を使えば超高速に情報をやりとりできるが、コンピュータに情報を表示するとき光子を電子に変換する必要があり、遅れが出る。しかしコンピュータのプロセッサーそのものが光子を扱えるようになればボトルネックは解消できる。
同チームの研究では今までのコンピューターチップが使えるため、コストが安いこともメリットになる。もし「光子スマートフォン」「光子タブレット」ができたら、さらに充電は長持ちし、発熱も少なくて済むだろうという。
光子コンピューターは遠い未来の話ではない。
すでにIBMやインテルは電子・光子ハイブリッド型コンピューターの開発をはじめているといい、メノン准教授は、およそ3年後には同チームで開発したビームスプリッタをハイブリッド機に搭載できると考えている。
初めはスーパーコンピューターやデータセンター、次に自動車やドローンの自動衝突防止機構、そして最終的には家庭用コンピュータやモバイルデバイスへと、徐々に光子が普及していくだろうという観測だ。
すぐそこにある光子の時代、人間はいったい何をしているのだろう──そう考えたけど、相変わらずゲームをやったり、メールを打っているような気もした。テクノロジーに合わせて人類も進化していくのかな?