既報のとおり、ドコモは同社のLTE-Advanced技術を活用したネットワーク「PREMIUM 4G」に関する説明会を開催しました。
PREMIUM 4Gの実態やどのように快適になるのかに加え、その恩恵は最初の対応端末である「iPhone 6s/6s Plus」で利用できる旨などが語られたので詳しく解説します。
フルLTEからPREMIUM 4Gへ
下り最大262.5Mbpsに対応し、トラフィックを緩和
ドコモは2013年9月に、1.7GHz帯と1.5GHz帯を利用した下り最大150Mbpsの「フルLTE」を提供。そして、今年3月からはLTE-Advancedの技術であるCA(キャリアグリゲーション)を使った「PREMIUM 4G」を提供開始しました。
これまでの通信速度は、下り最大225Mbpsでしたが、iPhone 6s/6s Plus発売の9月25日から、2GHz帯と1.7GHzのCAによる下り最大262.5Mbpsのサービスを開始します。
下り最大262.5Mbpsが利用可能なエリアは、まずは東名阪のトラフィックを集まるエリア。PREMIUM 4Gの基地局は通信が混雑しやすい都市部に集中的に投入されていく予定ですが、9月末には全都道府県の640都市で展開され、さらに2015年度末までには全国で1万8000局の“PREMIUM 4G”対応基地局が稼働する予定です。
同社の取締役常務執行役員の大松澤清博氏は「PREMIUM 4Gは常に快適な通信環境をお客様に提供します」と熱弁。「ユーザーから見ればデータを素早く受信できる。ネットワーク側から見れば効率よく、より多くのデータをスキマなく送れる」(同)とし、その快適さの秘訣は「(今回スタートする2GHzと1.7GHzのCAを含めて)ドコモは全部で4つのCAを利用できる。『高度化C-RAN』技術を活用することにより、ネットワークやユーザーの環境に応じた一番最適なCAに切り替えて提供する」と説明しました。
ドコモのスピードテストアプリで「快適さ」を見える化
快適さを客観的に見えるものとして、同社が昨年6月から提供するスマホアプリ「ドコモスピードテスト」(Android/iPhone対応)についても改めて紹介。ダウンロード数は50万、ユーザーが実行した速度計測はのべ700万回。
山手線の6駅(池袋、新宿、渋谷、東京、新橋、品川)で計測されたデータのうち、PREMIUM 4G提供前のLTE環境下(2014年10〜11月)と提供開始後(2015年9月)の最繁期のデータを抽出したところ、平均して約4倍も高速化されていたとのこと。もう少し広い範囲で見たとしても、最繁期の実行速度は都市部で平均20%、全国で平均10%も向上しているといいます。
11月には下り最大300Mbpsへ
2020年での5G導入にも積極的
このように同社がネットワークの効率化に対して積極的に取り組むのは「常に快適なネットワークを提供する」ということに加え、4Kや8K動画といった最新技術を用いたコンテンツに備えるためといいます。
そしてさらにその延長線上には、同社は次世代高速通信規格「5G」の2020年での導入を進めているとのこと。その第1歩として、今回の高速化に加え、2015年度中に下り最大300Mbpsの「3CC CA」(2GHz、1.5GHz、800MHzの3つの周波数帯を束ねるCA)を提供予定としています。
3CC CAは残念ながら今回のiPhone 6s/6s Plusでは利用できないのですが、対応端末によりネットワークが効率的に使用されることで、非対応端末のトラフィックにも若干ながらプラスになります。LTE端末を使うドコモユーザーであれば、同社の取り組みの恩恵を受けることになります。
なお、プレゼンテーション終了後の質疑応答と囲み取材では、2015年5月から施行されているSIMロック解除に関する話題も挙がりました。ドコモ製品ではないSIMフリー機に対しては動作保証などのサポートは機器によるとしながらも、キャリアとして他社製品を対象外にするといった施策はとっていないと明言。
ただし、iPhone 6s/6s Plusについてはドコモから販売されるモデルで下り最大262.5Mbpsのサービスを受けられるが、他社から発売されるiPhone 6s/6s Plusで利用できるかは確認できていない、としています。
今後Androidを含めたさまざまな端末で快適にLTEネットワークが使えるようになるわけですが、いち早く体感してみたいという向きにもiPhone 6sとiPhone 6s Plusは適していると言えるでしょう。