東京工業大学は8月17日、超小型の大気圧低温プラズマジェット装置を開発したと発表した。微細な表面加工や内視鏡治療に用いる医療機器などへの応用が期待される。
大気圧低温プラズマは放電などで作ることができる電離した気体のことで、(核融合などに用いられている)熱プラズマと違い、室温レベルの温度や常圧で作ることができる。電離した気体の特性を活かし、金属などの表面加工や化学的な処理といった工業用途に用いられているほか、殺菌消毒など医療用途の研究が進められている。
東京工業大学大学院総合理工学研究科の沖野晃俊准教授と神戸大学大学院医学研究科の東健教授は、3Dプリンターを用いてチタン加工を行ない、従来の機械加工では作成が困難な直径3.7mm、重さ3.7gという超小形の大気圧低温プラズマ源を開発。3Dプリンターの自在な工作加工により、放電電極の中に微細な水冷チャンネルも配置、プラズマの高強度化と小型化を両立させたという。
開発したプラズマ源を内視鏡の先端に組み込むことも成功している。大気圧プラズマは高い活性力をもつ活性種を生成できるため、表面の親水化による接着性の工場、細菌やウイルスの殺菌、血液凝固などといった応用が期待できるという。