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ウェアラブル専門家がスマートウォッチ市場離陸を予言した

2015年07月07日 10時00分更新

文● 末岡洋子

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3年後は2億台近いウェアラブル端末が出荷される

 市場の見通しは明るい。2014年には4000万台のデバイスが出荷された。多くを占めたのはスポーツ、フィットネス、ウェルネスの追跡を目的としたウェアラブル端末だ。ウェアラブルの出荷台数は2018年には2億台近くを見込んでおり、年率で40~50%で成長すると予想している。その際、スポーツ、フィットネス、ウェルネスやメディカルに続いて大きな市場になると見込まれるのが「スマートウォッチ」だ。

ウェアラブル端末市場は確実に伸びていくとする

 Stammel氏は「スマートウォッチ市場が立ち上がる要素が揃った」と語る。市場がスマートウォッチが必要としている背景として、スマートフォンの普及をあげる。「スマートフォンの1日の利用は3桁(100回以上)に達する。いちいち取り出すのは面倒くさいし、人間の自然な振る舞いではない。腕につけたデバイスをチェックする方が簡単だ」と語る。

 スマートウォッチの多くがスマートフォンベンダーから登場しており、スマートフォンとの連携を目的としているが、この方向性は正しいという考えのようだ。Stammel氏は多くのスマートウォッチで実装されている通知機能を評価し、「着信やメッセージ受信をアプリを立ち上げたり、スマホを取り出すことなくすぐに確認できる。これは、消費者に便利さを提供する」として、潜在ニーズがあるとの見解を示した。

ウェアラブル端末の課題はバッテリーとUI
音声入力は1つの解決策

 だがウェラブルが一般的になるためには、克服または改善すべき技術的課題がいくつかある。その中でも大きなものとして、エネルギー(バッテリー、消費電力)、素材、通信技術、センサー、UIを挙げた。たとえばUIではディスプレーに固執する必要はないのではとする。「どのようなインタラクション手法を利用すべきか、ディスプレーを超えて考える必要がある。音声入力はウェアラブル分野にとって大きな一歩となるだろう」とのこと。

 ウェアラブルのエコシステムは、チップベンダー、メーカー、OEMやインテグレーター、サービス事業者、通信事業者、ディストリビューターなどで構成されるが、Stammel氏は標準化の重要性を強調した。Bluetooth、ZigBee、IEEE、Wi-Fi Allianceなどがあるが、「ウェアラブルは24時間365日体の近くに装着するものだ。標準化団体が持続性のある安全なウェアラブルデバイスの普及に取り組む必要がある」とした。

 だが一部のベンチャー企業はすでに、スマートウォッチを超えた先進的取り組みを進めているようだ。WTは毎年「WT Innovation World Cup」として、オリジナルで革新的なウェアラブルデバイスを決定する受賞制度を持つが、今年2月に発表した最終候補には、ゴム素材にBluetoothを組み込み伸縮性のあるバンドを開発した「StretchSense」、皮膚にあてて薬剤の効果的な浸透を促すコスメ・メディカル分野の「FeeliGreen」、肩こりなどの痛みにパッチ型のデバイスをあてることで緩和する「CUR」などが残ったという。

 最後にStammel氏はマーケティングでよく用いられるキャズム理論を応用し、ウェアラブルは「キャズム超えの直前にある」と市場の状況を表現した。氏の見解が正しければ、これから順調な普及期に入ることになる。

ウェアラブル端末はキャズムを超える寸前に位置すると見る

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