「Apple Watch」が発売し、今年はスマートウォッチ元年とも言われるが、この市場を8年間見ている、独Wearable Technologiesの創業者、Christian Stammel氏によると、スマートウォッチ市場が立ち上がる要素は十分にあるという。
Huawei Technlogiesが6月中旬、ドイツ・ミュンヘンで開催した「Huawei Europe Innovation Day 2015」において、Stammel氏が語った市場の展望をレポートする。
ウェアラブルデバイスはスマートウォッチに限らない
補聴器やモーションセンサーなど多岐にわたる
Stammel氏がはじめてスマートウォッチを装着したのは8年前、スウェーデンのメーカーのものだったという。以来、Wearable Technologiesを地元ミュンヘンや台北などで立ち上げ、この市場の調査とともに市場活性化を図るためのイベントを行なっている。
Stammel氏はまず、ウェアラブルの定義として「体の近くや表面に装着するデバイスあるいは体内に埋め込むもので、主として無線通信を利用してやりとりする」とする。
その定義に基づくと体内に入るスマートピル、体に直接触れる補聴器、センサーパッチ、電子タトゥー、体の近くにある洋服、3Dモーションセンサー、アクティビティトラッカー、スマートメガネ、スマートウォッチなど実に多岐に渡る。
ウェアラブルはこのところのトレンドであるモノのインターネット(IoT)の一部にもあたるが、インテリジェントに利用されて初めて“スマート”になるという。スマートヘルスケア、スマートエンターテインメント、スマートカー、スマート産業、スマートホーム、スマートシティなどの一部としてつながることで、ユーザーはメリットを享受できる。
ウェアラブル端末の次なる方向性は「ファッション」
あからさまなウェアラブル端末は受け入れられない
このようにウェアラブルは幅広い分野だが、Stammel氏は市場を主に6つのセグメントに分ける「スポーツ・フィットネス」「ウェルネス」「ライフスタイル・コンピューティング」「ファッション」「インダストリー・セーフティ」「メディカル」の6つだ。
最初に立ち上がった重要なセグメントが「スポーツ・フィットネス」だが、その理由として「健康意識が高い比較的豊かな人が、自分の活動や健康についてのデータ収集に投資したいという明確な目標を持っている」と分析する。一般的ではないが「メディカル」もすでにそれなりの市場になっているのとことだ。
Stammel氏がこれからのジャンルと語るのが、「ファッション」だ。指輪、ブレスレットなどファッション志向のウェアラブルがベンチャー企業から登場しており、Intelもブレスレット型デバイスを発表した。
「Google Glass」が成功していない要因の1つが「あからさまにウェアラブルとわかるためギークの間でしか受け入れられない」というように、外観の洗練は重要であり、「将来はファッショナブルなウェアラブルか、インビジブルなウェアラブルになる」と言い切る。センサーや技術があることを感じさせないデバイスという方向性は、次の重要なトレンドだという。
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