(公社)日本通信販売協会(JADMA)が19日開催した定時総会記念懇親パーティーで、佐々木迅会長は、消費者委員会で検討されている特定商取引法の改正の議論について、「消費者保護と悪質事業者の排除が重要だが、過剰な規制を行うことは、新たなビジネスの芽を摘むことになってしまうのでは。全体の考え方として、『消費者』対『事業者』という対立構造のなかでものをとらえようとしていることに、違和感を覚えた」と語り、規制強化に向いている議論の方向性を警戒した。
また、「(検討会では)1契約あたり400万円など、一般通販とは明らかに異なる事例がある。これは騙すことを目的とした犯罪に近い行為だと思っている。過剰な規制をかけても規制を守るのは善良な事業者で、コストを負担するのも善良な事業者。悪質な事業者は法の目を潜り抜けてしまう」と話し、検討会で悪質事業者と一般的な通販会社が一緒に議論されていることに不快感を示した。
通販業界の景況については、「昨年の消費税の増税後、落ち込んだ消費が戻ってきている」と語った。4月から開始した機能性表示食品制度については、「通販業界の景気浮揚の起爆剤になってほしい」とした。国際的な活動として中国と韓国の団体と毎年開催している『アジア通販サミット』は、今年は7月に韓国の済州島で開催する予定だったが、MERS問題で秋まで延期した。
経済産業省の寺澤達也氏は、「個人の趣向に合った商品の提案など、通信業界はビッグデータ活用の最前線にある。ビッグデータ活用の際には、個人の同意の取り方、第三者利用のルールなどの個人情報問題、データ分析の人材不足などさまざまな課題があるが、課題解決に向け、通信販売業界と連携しながら、ビッグデータを効果的に使えるように取り組んでいきたい」と話した。セキュリティー対策については、「データ漏えいなど1社が問題化すると、業界全体に波及する。セキュリティー対策は、全面的にチェックしてほしい」と語り、更なる対策を求めた。