ウッドドーム採用の末弟モデル、JVC「HA-FX650」
響きのよさと高域の艶が魅力!
インイヤー型の2つめは、JVCケンウッドの「HA-FX650」(実売価格1万7000円前後)。純木素材をドーム型に加工した「ウッドドーム振動板」採用の末弟モデルで、上級機と同様に振動板の前面にウッドディフューザーを配置し、音の広がりを改善するなどの工夫が加わっている。
真鍮リングと木材を使ったウッドダンパーを組み合わせ、ユニットの振動を抑える「アコースティックハイブリッドダンパー」も搭載。ハウジングも木材を採用するなど、基本的な造りは上級機そのままだ。
ユニークなのは、シリコン樹脂製のイヤーピースの音道部分に、ディンプル(半球状のくぼみ)を設けてイヤーピース内の不要な反響を抑える工夫を加えていること。低反発ウレタン素材のイヤーピースも2種類付属しており、上級機と同等の造りに充実したアクセサリーの付属を考えると、なかなかお買い得に感じる。
音質も、上級モデルの艶のある音色を継承しており、クラシックではアコースティックな楽器の音色を艶やかに鳴らす。木管楽器のしっとりとした音色も、金管楽器の輝くような響きもきめ細かく再現する。
低音はややタイトな印象だが、パワー感はしっかりと出る。もう少し低音の量感が欲しくなるが、大編成のオーケストラらしいスケール感も十分に得られる。ジャズでも、ドラムの鳴りはややタイトで小粒な感じもあるが、打音の力感や立ち上がりの鋭さはしっかりとしていて、あまり不足を感じない。なによりピアノやサックスなどのメロディーが表情豊かだ。
「Ring Your Bell」では、声は華やかになりすぎず、しっとりとした光沢感のあるシルクのような再現になる。高い声の伸びも透明感があって美しいし、表情も豊かだ。低音パートはやや細身になるが、中高域の色気のある音色は非常に魅力的で、女性ボーカルを魅力的に楽しませてくれる。輝きのある音質は個性的で好みの分かれる部分もあるが、ハイレゾらしい情報量の豊かさや、力感のあるサウンドはなかなかのレベルと言える。
ハイレゾ音源の良さを満喫するためにも
実力の高いスピーカーやヘッドフォンを選ぼう
ハイレゾ音源が多くの人に知られるようになってから数年が経過したが、質の高い音源が登場することによって、再生機器側の音もぐっと進化してきている。
当初は高級機が中心だったが、次第にその技術やノウハウが降りてきて、比較的身近な価格帯でもなかなか立派な音がするようになってきている。
アクティブスピーカーでも5万円前後、ヘッドフォンなら1~2万円ちょっとの価格でハイレゾ音源の素晴らしさを感じられるのは、実にありがたいことだ。夏のボーナスを再生機器をグレードアップして、ハイレゾ音源の素晴らしさを存分に味わってほしい。
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