一体型スピーカーとは思えない本格的な音
情報量の豊かさに驚かされる
まずはSRS-X88から聴いてみた。音源はUSBメモリーに保存したハイレゾ音源を使っている。サラっとした爽快感のある音で、音の輪郭の立った聴きやすい音だ。
くっきりはっきりの明瞭な音だが、女性ボーカルなどを聴くと声質の描き分けもしっかりとしているし、音の立ち上がりのいい活発な音になる。クラシックでの楽器が整然と並ぶようなステージ感も一体型スピーカーとは思えない広がり感が得られる。
Kalafinaの「Ring Your Bell」(今回の統一試聴曲)を聴いてみると、ドラムの低音はなかなかしっかりとしていて、しかも膨らみ過ぎないのでリズムのキレがよく出る。3人の声の描き分けも明快だし、ギターをはじめとする伴奏の楽器の音もきめ細かく再現される。Bluetoothスピーカーとして、今や4万円台は高級機の部類だが、音質的にもかなり本格的なレベルになっている。
価格がさらに上のSRS-X99になると何が変わるか。パッと聴いてすぐにわかるのは、音場の広がりだ。SRS-X88も左右のスピーカーの間隔が狭い一体型にしては広がりがあるが、SRS-X99になると左右のスピーカーをセパレートしたモデルのような立体的な音場感になる。これは、天面に配置された2つのスーパートゥイーターの効果だろう。
基本的な音の傾向は共通したものを感じるが、中高域、特にボーカルの再現がよりスムーズになり、女性ボーカルなどは瑞々しい歌声を楽しめる。低音もユニットが一回り大きくなっているせいか、リズムのキレの良さはキープしたまま、量感がさらに出て聴き応えのある音になる。
「Ring Your Bell」では、声の表現がより精密になり、3人がコーラスでハーモニーを生み出す様子がよくわかる。特に低音パートの力感が出て、歌声のメロディに安定感が出てくるところがSRS-X88とは大きく違った。
声の表現力はとても優秀で、さまざまな声優やミュージシャンが歌うアニソンではその声の魅力をしっかりと楽しめると感じた。音場の広がりの豊かさも含め、もはや一体型スピーカーというよりも、優れたアクティブスピーカーと肩を並べる実力だ。
ハイレゾ対応の携帯スピーカーをはじめ、スマホもハイレゾ対応機が続々と登場しているが、これらでハイレゾ音源を楽しむのなら、優れたヘッドフォンだけでなく、こうした優れたスピーカーもあるともっと音楽を楽しめるはず。しかも、Bluetooth対応やコンパクトなサイズなど、使いやすさは一般的なBluetoothスピーカーなので、実に快適だ。
(次ページに続く、「パナソニック RP-HD10などオーバーヘッド型ヘッドフォン」)
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