ハリウッドやホワイトハウスでも大活躍!
キャデラック・エスカレード。
アカデミー賞のレッドカーペットやホワイトハウスに召集されるアメリカの閣僚など、セレブがその場所に乗りつけるクルマは、いまどきストレッチリムジンは時代遅れ。一時期はプリウスやレクサスなどのハイブリッドでエコイメージを付けようなんて方々もいたようだが、エコが当たり前のこのご時勢、セレブが乗りつけるクルマの筆頭となっているのはフルサイズSUV。それもキャデラック・エスカレードが多勢を占めている。アメリカでは成功のシンボル、憧れのクルマとして存在しているのだ。
そのキャデラック・エスカレードが最新型の4代目にモデルチェンジし、日本に上陸した。日本でも起業家を中心に人気が高いエスカレード。昨年から今年初頭まで行なわれていたプレオーダーでも、日本での価格が決まっていないにもかかわらず、軽く3桁の注文が入ったという。
ちなみに最多受注グレードは、今回試乗した上級グレードのプラチナムで、オプションがつかない状態の消費税込み車両本体価格は1249万円。試乗車はそこにオプションのカーナビが35万円、オーダーカラーのホワイト12万9千円が加算される。
エスカレードを間近に見ると、かなりデカい。モデルの桜井さちちゃんの身長が165cmでハイヒールを履いているから大体174cm程度になっているが、それを遥かに超える191cmの全高。全幅は206.5cmと2m超え。全長519.5cmはロングボディーのレクサスLS600hLより5mm長い。トランクを持たないSUVとしてはかなり長い部類に入る。
後方から見ると、その巨大さがより一層強調される。最低地上高が21.5cmもある上に、ミニバン以上の居住性を持ったボディーが乗っかっているのがフルサイズSUVなのだから、デカいのは当たり前といえば当たり前。22インチという巨大なホイールもごく当たり前に見えてしまう。
アメリカのフルサイズなセレブ系のクルマがSUVにシフトしているのには、アメリカ特有の事情がある。行ったことがある方ならわかるだろうが、彼の国は、都市部を除けば広大な草原や砂漠が広がり、少し山間部に入ればうっそうと茂る森林地帯。幹線道路と市街地以外は舗装がされていないフラットダートな道が続くという、リアルでマインクラフトの世界観にSUVは心強い。
そして、フルサイズSUVを含むSUV全体が再評価されたのは、あの9.11テロ。うず高く積まれた瓦礫を目の前にして都市部も走破性の高いSUVが必要なのではないかという気分がアメリカ中を覆った。
もともと自動車を大衆のものとして再構築し、移動の自由を謳歌したお国柄である。こういった事情を踏まえれば、移動制限の少ないSUVにも超高級車を求めるのは火を見るより明らかだ。また省燃費技術も進み、シェールオイルなどで世界有数の産油国となり、ガソリン価格も低値安定という背景から、超高級SUVの需要はうなぎ登りとなっているのだ。