楽天 三木谷浩史社長 写真:編集部
9日、楽天がオンラインショッピング向けのポイント・キャッシュバックサイトEbates(イーベイツ)買収を発表した。海外での流通比率を高めるのがねらい。三木谷浩史社長は会見で「今までは6%だった海外のEC比率がイーベイツを加えることで16%に上がった。2020年を過ぎた頃には50%にしたい」と話す。イーベイツの流通総額は2013年度で22億米ドル、2014年度は30億米ドル(約3150億円)に達する見込み。
イーベイツは1000万人を超える会員の購入履歴を持ち、2008年以降は約50%の成長率を維持している。北米だけではなくカナダやロシア、中国・韓国などアジア地域にも展開しており「中東やアジアのいわゆるエマージングカンパニーが非常に大きい。それらの会員ベースを使っていくのが我々の戦略」(三木谷社長)。
楽天のショッピングカートで、米国のデパートの買い物できる
買収に至った経緯については「楽天が7年前に買収したリンクシェア(現:楽天リンクシェア)の最大の顧客の1つだった」と説明。楽天のショッピングカートでイーベイツの商品を購入可能にして、オンラインストア、ブランド、デパートといった1800以上の企業を楽天エコシステムに取り込むことで「日本の楽天の買い物かごで、米国のすごいデパートでも買い物できる」(三木谷社長)状況を実現したいという。
「イーベイツの出店者にはすごいブランドが入ってきている。出店者から見れば、楽天市場は非常にコンバージョンレート(購入率)が高い。ほとんどの人が買い物をしていくサイトになっている。一方、データを加工しなければいけなかったり、サイトも作り替えなければならず、手間がかかる。イーベイツはそうした手間が一切必要ない。システム的には何もしなくても勝手にショッピングモールの中に入っていける。将来的にはこの2つをコンビネーションしていくことで、より広範な店舗から買い物できるようになる」
垂直統合型を脱し、次世代のECプラットフォームを作りたい
楽天は今年8月にECの購入履歴を集約するSlice(スライス)も買収している。購入履歴、会員制ポイントプログラムの組み合わせにより顧客情報の精度を上げ、「次世代のECプラットフォームを作りたい」と意気込む。
「(従来は)垂直統合型のECマーケットプレイス、ショッピングモールが中心だったが、イーベイツと楽天のモデルを組み合わせることで、新しい形のショッピングモールを作りたい」
