「ポーランドのITのイメージねぇ……」。都内に本社を置くソフトウエア会社に勤めるフランス人は、少し考えてから口を開いた。「日本人が中国やベトナムにオフショアするように、アウトソーシング先として有名かな」。そう言って、肩をすくめた。
確かに、ポーランドのITは「先進的」とは言いがたい。ポーランド経済省も「欧州におけるICT化進展ランキングの上位に、我が国の姿はない」と認める。
一方で、同国のICT輸出額は増加傾向にある。「1996年から2008年にかけて、ポーランドのICT輸出は年率28%の割合で増加。ICT関連の雇用規模はいまや欧州第5位だ」(ポーランド経済省)。同国のソフトウエア企業REC Globalのラドミル・グルーシャ上級副社長も「ICT輸出額は2013年に約6億5000万ズロティ(約217億円)を上回った」と明かす。
培った技術と経験から、新しいサービスも生まれ始めている。その代表が「CeBIT 2014」でも展示されたFIBARO社の「FIBARO SYSTEM」だ。
家電のスイッチの裏側に専用の機器を埋め込めば、パソコンやスマホアプリから一括コントロールできる。簡単な工事で自宅の「スマートホーム化」が可能だ。
ポーランドのIT企業関係者は「アジアは市場として大いに興味がある」と話す。特に日本は通信網が高度に発達しているため、モバイル分野で非常に可能性があるという。
「でも、日本ではポーランドのことが全くといっていいほど知られていない。『欧州のIT産業はポーランドにあり』と、もっとアピールしなくちゃね」(IT企業関係者)