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「欧州ITの下請け」を脱するポーランド

2014年06月25日 07時00分更新

文● 澁野義一(Giichi Shibuno)/アスキークラウド編集部

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「ポーランドのITのイメージねぇ……」。都内に本社を置くソフトウエア会社に勤めるフランス人は、少し考えてから口を開いた。「日本人が中国やベトナムにオフショアするように、アウトソーシング先として有名かな」。そう言って、肩をすくめた。

 確かに、ポーランドのITは「先進的」とは言いがたい。ポーランド経済省も「欧州におけるICT化進展ランキングの上位に、我が国の姿はない」と認める。

最新ビルとソビエト時代の荘厳な建築が同居するワルシャワの風景。

 一方で、同国のICT輸出額は増加傾向にある。「1996年から2008年にかけて、ポーランドのICT輸出は年率28%の割合で増加。ICT関連の雇用規模はいまや欧州第5位だ」(ポーランド経済省)。同国のソフトウエア企業REC Globalのラドミル・グルーシャ上級副社長も「ICT輸出額は2013年に約6億5000万ズロティ(約217億円)を上回った」と明かす。

 培った技術と経験から、新しいサービスも生まれ始めている。その代表が「CeBIT 2014」でも展示されたFIBARO社の「FIBARO SYSTEM」だ。

 家電のスイッチの裏側に専用の機器を埋め込めば、パソコンやスマホアプリから一括コントロールできる。簡単な工事で自宅の「スマートホーム化」が可能だ。

FIBARO社の「FIBARO SYSTEM」。日本への導入は未定だ。

 ポーランドのIT企業関係者は「アジアは市場として大いに興味がある」と話す。特に日本は通信網が高度に発達しているため、モバイル分野で非常に可能性があるという。

 「でも、日本ではポーランドのことが全くといっていいほど知られていない。『欧州のIT産業はポーランドにあり』と、もっとアピールしなくちゃね」(IT企業関係者)


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