移り変わりの激しいモバイル業界
勝ち残るのはどのメーカー!?
2月27日から3月1日まで、スペイン・バルセロナでモバイル業界のイベント「Mobile World Congress 2012」が開催された。来場者は昨年から7000人増の6万7000人、出展者は1500社。とてもすべてを網羅できないが、端末とOSの観点から感じたトレンドの一部をまとめたい。
端末ではクアッドコア、LTE対応、大画面化、薄型、そしてAndroid 4.0(Ice Cream Sandwich)などがキーワードだろう。ほんの少し前までデュアルコアで騒いでいたが、今年はHTC(「HTC One X」)、ZTE(「ZTE Era」)Huawei Technologies(「Ascend D Quad」)、LG(「Optimus 4X HD」)などがクアッドコア端末を発表した。ZTE Eraの7.8mmなど薄型をアピールするところもいくつか。4.7型のHTC One Xなどは画面は大きく鮮明になり、タブレットとの境界がさらにぼやけはじめた。
メーカー別の印象だが、メーカーが集まるHall 8では、SamsungがかつてのNokiaのように君臨。Samsungは「GALAXY Note」を紹介する専用スペースも設けていた。「iPhone」から始まった現在のスマートフォンブームで、これまでSamsungはどちらかというと似たような端末を作る“カテゴリーフォロワー”だったが、GALAXY Noteはオリジナルアイディアでカテゴリーを作ろうという意欲が感じられた。なお、バルセロナの中心地でもGALAXY Noteを体感できるイベントを開催していた。地元の人が作る長い行列から、Samsungのブランド力を感じた。
Samsungが「余裕」なら、「勢い」はSamsungの横のZTEと、その向かいのHuaweiだ。ZTEはすでにLGを超えており、MWCでは「2015年にトップ3入りを目指す」と宣言。現在のトップ3はNokia、Samsung、Appleの順で、ZTEは4位(Gartnerの第4四半期調査)。ZTEがナンバー3に入るとなると、どこが落ちるのだろう?
ZTEがかつてのSamsungのようにたくさんのラインナップで攻めたのに対し、Huaweiはブランドにのし上がることを狙ったブース作りだった。実際、CESでスタートした「Ascend」(“上昇する”という意味の英語)ラインの洗練さには驚いた。少し触ったところでは、トップブランドのスマートフォンと変わらない高級感がある。スペックだけではなく、外観やデザインを強化する点でZTEと一線を画している気がする。
HTCは今年も、固定地であるHall 1、Microsoftの近くにブースを構えたが、「HTC Flyer」やFacebookフォンなどが話題をさらい、大混雑していた昨年と比べると、今年は少し寂しい印象。トレンドの移り変わりとメーカーの浮き沈みサイクルの速さを感じる。やや低迷気味のHTCは、MWCで発表する新戦略で盛り返しを図るといわれていた。そして、開幕前夜に開いた発表会では、カメラや音声などにこだわった高機能端末にフォーカスすることを打ち出した。だが、ここはApple、Samsung、Sony Ericsson改めSony Mobileとバッティングする。ユーザーが新UI「HTC Sense 4.0」をどのぐらい新鮮と感じるか、カメラや音声をどう評価するか、今後に注目だ。
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