1ヵ月で2000本くらい売れた
── 外国人にとっては、このアプリをオフラインで見られたらもっと便利なんですが、UpNext NYCのコンテンツのいくつかはオンラインじゃないと見られません。なぜデータを全部アプリ内に入れなかったのですか? 海外旅行時にはデータ通信すると驚くほど高額になるので……。
ラジさん:ニューヨークは店が集積しているので、詳細情報を全部集めると100GBもあって、iPhoneアプリには収まりきらないんですよ。
── なるほど、それは無理ですね。
ラジさん:店舗情報やユーザー評価は、ほかのウェブサービスから情報を引き出している部分があるため、ライセンスの問題から、すべてのコンテンツをアプリ内に含めるのは難しいです。レーティング(店の評価)はCitySearch、the New York Times、Time Outから、2次元マップはVision Mediaから、地元の店舗情報はLocalezeから得ています。
あと、ニューヨークは変化が激しいので、オンラインで内容をアップデートするのは避けられません。店情報は常に更新されるので、最新情報をネットから取得するほうが、実際に行ってみたら「店がなかった!」ということを防げるでしょう。内容のアップデートは、ネット経由でユーザー主体で行なう場合と、私たちが2ヵ月に1回、アプリ内のデータベースを更新する方法の二通りで提供しています。
── 2009年4月末に発売して以来、iPhone用のアプリは何本くらい売れましたか?
ラジさん: えーっと、そうですね、発売してから1ヵ月で、だいたい2000本くらいかと思います(注:取材は5月末)。ウェブサービスや広告収入はなかなかお金にならないので、iPhoneアプリの販売によって現金が入るのは助かります。
── アップネクストは無料のウェブサービスも提供していますが、そのビジネスモデルは? どこから利益を得ているんですか?
ラジさん:地図に表示する店情報から、広告利益を得ようと考えています。例えばiPhoneアプリ版では、右下にあるボタンをタッチして「Just Opened」を開くと新規オープンした店の情報が見られますが、ここに「ハッピーアワー」(割引などのサービスが受けられる時間)などの情報を掲載できればと思っています。でも景気が悪いので、広告でお金を稼ぐのは大変です。ユーザーの投稿する感想や評価が貯まってデータベースが充実すれば、それも財産になると思います。
── iPhone版アプリで、ユーザーが店に対してメモを書くと、それはほかのユーザーに公開されてしまうのですか?
ラジさん:はい、そうです。最初のバージョンでは、そのことがユーザーに明示されていなかったので、次のリリースで修正します。また、プライベートなノートを記録したいという声もありましたので、ノートは公開/非公開を選べるようにします。
──私もiPhoneアプリを販売しているのですが、アメリカと日本のユーザーはアプリをたくさん買ってくれるのに対して、ヨーロッパのユーザーはあまり買ってくれない気がします。そう思いませんか?
ラジさん:多分、ヨーロッパのユーザーは、ケータイで何かを購入することにまだ慣れていないんじゃないかな。時間が経てば、オンラインでアプリを買うことに抵抗が少なくなって、だんだん変わってくるんじゃないかと思います。