ソフト開発というと、一般ユーザーには見えない苦労が隠されているもの。iPhoneアプリでも同じ話で、特にゲームでは、シナリオ/グラフィック/音声などさまざまな要素が絡んでくるためより面倒になってくる。
そんなiPhoneゲーム開発者を手助けしてくれそうなのが、CRI・ミドルウェアが1月6日に発表したiPhone/iPod touch向けの音声ミドルウェア「i救声主 / CRI Sound Streamer for iPhone」だ(関連記事)。実はこのソリューションは、iPhoneのゲーム開発を大きく加速させる可能性を秘めている。i救声主を手掛けるCRI・ミドルウェアのiPhone&SmartPhone lab.を直撃し、その詳細を取材した。
CRI・ミドルウェアって?
業務用/家庭用ゲーム機において、ソフト開発を効率化する音声/映像の圧縮ソリューションを提供してきた企業。WiiやPLAYSTATION 3、Xbox 360、ニンテンドーDSといった家庭用ゲーム機で遊んだことのある人なら、テレビ画面とスピーカーをモチーフにした「CRIWARE」のロゴをどこかで見かけたことがあるかもしれない。
継ぎ目のないループ再生を実現
何はともあれ、まずはi救声主のデモを見てほしい。
ゲーム開発に詳しくない人なら、「単に声とBGMを出すなら、そんなに難しいことでもないんじゃない?」とか、「圧縮音声ならMP3を使えばいいのでは」と感じるかもしれない。このi救声主でいちばんのポイントは「継ぎ目のないループ再生ができる」という点にある。
CRI・ミドルウェアのiPhone&SmartPhone lab.を率いる幅朝徳氏は、「ループ音は、ゲームでは絶対に必須なんです。でも圧縮音声をシームレスでループさせようとすると、『継ぎ目』を出さないようにするのが非常に難しい」と語る。
音楽を継ぎ目なくループするためには、データを先読みしなければならず、そのためのプログラムも作り起こさなければならない。そのプログラムを自社で開発してもいいが、プログラマーが少なく、製作にかけられる時間も限られているとなれば、i救声主のようなミドルウェアを利用したほうが効率的だろう。
シーンの切れ目でBGMにフェードイン/アウトをかけたいときや、ボイスのピッチ/ボリュームを変えたいときにも役立つ。iPhoneでサウンドにそうした効果を適用しようとすると、いちいち音源から作り直す必要があるが、i救声主を使えば波形エディタまで戻らずにパラメーター調整で済むのだ。
BGMやボイスをグループ化できるというのも重要だ。グループ化することにより、そのグループでひとつの音しか流さないという風に設定しておける。具体的に言えば、先に掲載したムービーの後半で、画面のボタンを押して切り替えている男声と女声がひとつのグループだ。
この仕組みをいちから開発するとなると、男声から女声に切り替える際、今流れている男声を止めるというプログラムを作らなければならない。i救声主でグループ化しておけば、その手間が省けるだろう。