シーラス・ロジック(株)は5日、都内で記者会見を開催し、1チップのD級デジタルアンプ『CS4525』、デジタルテレビ向けのオーディオプロセッサー『CS48520』と『CS48540』、24bitステレオコーデックIC『CS42L52』の4製品を発表した。
シーラス・ロジック(株)ジャパン・カントリー・マネージャーの和田武雄氏(左)と米シーラス・ロジック社副社長兼ミックスド・シグナル・オーディオ部門担当部長のジェイソン・ロード(Jason Rhode)氏(右) |
急速に拡大している薄型テレビの市場では、今後映像に加え、音声の高品質化に関する需要も高まると考えられている。今回の製品は、それを視野に入れたもの。
CS4525 | CS42L52 |
省スペースと低発熱が売りのDTV用D級アンプ『CS4525』
デジタルテレビ向けD級デジタルアンプのCS4525は、A/Dコンバーターやオーディオプロセッサー、サンプルレートコンバーター、PWM(Pulse Width Modulation)変換器、増幅段などを1チップに統合。従来3~6個のICが必要だった複雑な回路設計なしに、アンプ部分を構成できるようにした。出力は最大15W+15Wで、追加ICなしにサブウーファーの追加(2.1ch構成)をサポートする。また、パラメトリックイコライジングやリップシンク遅延の補正出力などにも対応する。
CS4525の利用例 | CS4525の主要機能 |
チップの発熱に関しても配慮されており、ヒートシンクは不要。熱警報や“フォールドバック”技術も搭載した。これは、入力ゲインが最大、出力段最大といった状況でまれに生じるダイの過度な発熱への対策で、チップの温度をモニタリングし、熱が上がりすぎた場合には、ユーザーが意識しない範囲でボリュームやゲインを調節し、温度の上昇を抑制するものだという。従来のチップでは、こうした場合電源を落とす以外なかった。
CS4525のブロック図 |
デジタル部分は24bitのΔΣ変換を行なっており、ダイナミックレンジは100dB。パッケージは48pinのQFN(Quad Flat Non-leaded package)で、すでにサンプル出荷中。1万個注文時の単価は2.81ドル(約324円)。
豊富なコーデックに対応した『CS48520/48540』
オーディオプロセッサーのCS48520とCS48540は、それぞれ4チャンネル/8チャンネルのオーディオ入出力に対応。前者はステレオまたは2.1chへの出力、後者はCS48540はマルチチャンネル出力を想定したチップとなる。
CS48520/48540の応用例 |
Audistry、Dolby ProLogic II、Dolby ProLogic IIx、Dolby Virtual Speaker II、Dolby Headphone II、DTS Neo:6、SRS WOW、Circle Surround II、SRS TruSurround XT、SRS TruSurround HD、SRS TruBass、BBE、BBE Viva2、BBE Viva+、BBE Mach3Bass、Cirrus Original Multichannel Surroundなど各種バーチャルサラウンド技術に対応。各種アルゴリズムは内蔵のROM内でサポートされ、外部メモリーの追加なしで利用できる。
また、リップシンク用に最大200ミリ秒までのオーディオ遅延や、自動ルームイコライゼーション機能などに対応している。パッケージは48pinのLQFP(Low Profile Quad Flat L-Leaded Package)。
ポータブルオーディオ用に低消費電力化『CS42L52』
携帯機器向けの24bitステレオコーデックICのCS42L52は、スピーカーの場合、1チャンネルあたり最大1W(8Ω)、ヘッドホンの場合1チャンネルあたり最大44mWの電力を供給できるD級アンプを内蔵。携帯型の音楽/動画プレーヤーのほか、ポータブルスピーカーへの搭載を視野に入れている。コンデンサーを介さず、バッテリーと直結できるため回路設計がシンプル/低コストになる点も特徴。
CS42L52の応用例 |
消費電力は1.8V動作時で13mWと低消費電力(ステレオヘッドホン出力時)。ダイナミックレンジは98dB。パッケージは48pinのQFNで、1万個購入時の単価は3.95ドル(約456円)。
CS42L52のブロック図 |