シャープ(株)は20日、東京・市谷の同社オフィスにプレス関係者を集め、モバイル端末向けデジタル放送“ワンセグ”の視聴機能を持つカラー液晶パネル搭載電子辞書“Papylus(パピルス)”『PW-TC900』を12月8日に発売すると発表した。価格はオープンプライスで、編集部による予想実売価格は5万円前後。
ワンセグ視聴が可能なカラー電子辞書“Papylus”『PW-TC900』 |
発表会には、パーソナルツール事業部事業部長の大喜多義憲(おおぎたよしのり)氏、パーソナル事業部商品企画部主事の安村千明氏らが出席し、ワンセグ視聴が可能な電子辞書の開発の背景や電子辞書市場の現状などを説明した。
電子辞書市場は踊り場状態
パーソナルツール事業部事業部長の大喜多義憲氏 |
ワンセグチューナーを内蔵した電子辞書PW-TC900は、今月8日に発表された“手書きパッド”搭載の電子辞書『PW-AT750』に続く、「ユーザーにサプライズを与える」(大喜多氏)新機軸の電子辞書。
パーソナル事業部商品企画部主事の安村千明氏 |
大喜多氏によると電子辞書の市場は2004年以降、3年連続で年間250万台弱と微増傾向ながら踊り場状態が続いている。内訳を見ると日常生活で求められる需要は一巡し、用途が明確な“高校生モデル”が着実に成長しているほか、“音声付きモデル”や“カラー液晶ディスプレー搭載モデル”の比率が向上し、辞書の知識力と音声に“プラスα”の新付加価値の搭載、ユーザーにサプライズを与えるモデルの創出が必要、と判断したという。
ライブ試聴は可能だが、録画や再生機能は持たず
PW-TC900は、同社の“オンリーワン技術”という高画質・高精細な液晶パネルの開発・生産、TV視聴に最適化した高画質化回路の搭載などを導入した新機軸の電子辞書。4.3インチの高輝度カラーASVワイド液晶パネル(480×272ドット表示)を搭載し、従来比40%の輝度向上を実現。また、“RGBマトリックス演算回路”による彩度調整と、“二次元フィルタ”でエッジを強調する高画質化回路を新たに搭載して、等倍(中央上部に320×240ドットもしくは320×180ドット表示)でも全画面でも奇麗なワンセグ視聴が可能になったという。
液晶ディスプレーを反転して閉じた、携帯視聴スタイル | キーボード。右上の“辞書|テレビ”ボタンでモードを切り替える。視聴中の番組は、カーソルキーの上下で切り替えるほか、ヒンジ裏側にチャンネル切り替えるのボタンが用意されている |
このワンセグ視聴は、辞書機能と切り替えて使うもので、辞書を引きながらワンセグ放送を楽しむといった使い方はできない。またEPG(電子番組表)やデータ放送の受信機能、録画機能などはなく、本体にSDカードスロットを持つものの、ほかの録画機器でSDメモリーカードに記録した動画を再生するソフトも持たない。SDカードスロットは、オプションの追加辞書(本日現在で17種類)や、MP3形式(32k~192kbps)の音楽ファイルの再生、デジタルカメラなどで撮影した画像の表示、テキスト形式かXMDF形式の電子書籍の閲覧などに利用する。
液晶パネルは同社のPDA“ザウルス SL-Cシリーズ”と同様に、ヒンジ部分で180度回転させることができ、電子辞書として使う場合はノートパソコンのように開いてキーボードから入力し、机の上でTVを視聴する場合は液晶パネルを反転させて斜めに立てる、手に持ってTVを視聴する場合は液晶パネルを反転して閉じることで携帯しやすくする、といった3タイプの使い方が可能という。
バッテリー駆動時間は、ワンセグ視聴のみで連続5時間、電子辞書として使った場合は連続20時間。バッテリーは専用リチウムイオン充電池を使用する。
PW-TC900に収録された40種類の辞書 |
辞書はカラー画像約1000点を初搭載した“スーパー大辞林”、ネイティブによる発音データ付き見出し語を約2万6000語収録した“ジーニアス英和辞典”、ビジネスマン向けに“経済新語辞典06”“パソコン用語辞典2006”など40種類の辞典を収録。
本体サイズと重量は、幅132.0×奥行き91.0×高さ22.5(最薄部19.9)mm/約283g(充電池込み、SDカード含まず)。ヒンジ部分にステレオスピーカーを内蔵するほか、側面にはイヤホンジャックを備える。