OutlookやOutlook Expressと同等のルック&フィールをもつウェブメール、カレンダーソフトウェア“Scalix(スケーリックス)”が日本に上陸する。米スケーリックス社と(株)サードウェアは27日、共同記者会見を開き、日本スケーリックス(株)を設立すると発表した。日本スケーリックスは日本語化や日本での技術サポートを行なう。2007年2月に無償版/SOHO向け有償版/エンタープライズ向け有償版の3種類のライセンスでリリースする予定だ。
Scalixのユーザーインターフェース。ブラウザー上でOutlookと同等のUIを実現している |
MS製品と高い互換性、部分代替も可能
ScalixはLinux上で稼働するメールサーバー。ExchangeサーバーやActive Directoryと高い互換性をもち、サーバーだけを入れ替え、OutlookやOutlook Expressといったクライアントを利用することができる。対応OSも、Windowsだけでなく、Mac OS XやLinuxをサポートする。
Ajaxを利用したウェブベースのインターフェースを特徴とするクライアント環境も用意され、IE、Fireforxなどのブラウザーからウェブメールとして利用できる。通常のウェブメールと異なり、Ajaxで作り込まれたユーザーインターフェースは、ローカルで動くアプリケーションと遜色がない操作性を実現している。「マイクロソフト製品との互換性が高く、ユーザーの教育なしに、すぐに移行できる」(日本スケーリックス 代表取締役社長 久保元治氏)という。
HPのOpenMailのコードを買い取り、2年かけて開発
米スケーリックスは2002年に設立された比較的新しい会社だが、元となっているのは米ヒューレット・パッカード社が2001年まで販売していた“HP OpenMail7”。販売終了の際に、米スケーリックスはソースコードのライセンスを取得し、約2年をかけて2005年に“Scalix8”としてリリースした。10年以上の開発実績があり、10万ユーザー以上の大規模なシステムでも稼働実績がある。
現行バージョンはScalix10だが、日本で販売を予定しているのは12月末にリリース予定のScalix11。バージョン11からはオープンソースとなる。サードウェアはこれまでLinuxシステムやメール関連ソリューションを基幹業務としており、オープンソースのスパム対策ソフト“SpamAssasin”の改良などで実績がある。開発者・利用者のコミュニティーと連携を強く持ち続けることで、技術情報やサポート情報の共有を目指す。無償ライセンスのユーザーについてはコミュニティーによる相互扶助を促進するというオープンソース開発モデル的なアプローチを取る。
ライセンス形態は3種類。複数サーバー構成やクラスタリングをサポートする大規模“Scalixエンタープライズエディション”は41万7375円。1台のサーバー構成のみサポートする小中規模向けの“Scalixスモールビジネスエディション”は17万2200円。1台のサーバー構成のみサポートし、サポートが別途有償となる“Scalixコミュニティエディション”は無償。いずれも登録可能なユーザー数は無制限だが、グループウェアの共有機能などに制限がない“プレミアムユーザー”の数に、それぞれ25ユーザー/50ユーザー/25ユーザーの制限がある。
システムインテグレーターを通じたソリューション販売と流通チャネルを通じたライセンス販売を行ない、2007年に7000万円、2008年に2億5000万円の売り上げを目指す。
日本スケーリックス 代表取締役社長 久保元治(くぼもとはる)氏 |