【LinuxWorld Conference & Expo 2004 NY Vol.2】マイクロソフトとサン――SFUとJava Desktop System
2004年01月23日 00時00分更新
会場となるJavits Convention Center全体は、日本の基準で考えるとそんなに小さいものではないが、LinuxWorldが使っているのはごく一部。まあ、幕張あたりの建物1つ分ぐらいという感じである。なので、半日もあれば、会場を回りきってしまう。
もちろん、あちこちのブースで話し込んだりしなければだが、Linuxとはいえ、展示は多岐にわたるので、多くの来場者は、興味のあるところだけを見てまわることになり、その意味では、やはり1日出ればいいか、という感じである。
プレス向けのコンファレンスも、開催3日間のうち、前半2日間に集中しており、最終日にはプレスイベントは開催されない。CES(Consumer Electronics Show)クラスの大規模なイベントであっても、最終日に残っているのは、海外から来て、ほかに行くところもないプレスのみで、米国内のプレスは、ほとんど残っていない。
マイクロソフト
マイクロソフト社のブース |
さて、2日目である22日は、米マイクロソフト社のブースが開き、説明が本格的に始まった。
マイクロソフトブースでは、『Windows Services for UNIX』を中心に展示、説明を行なう。また、コースウェアやSFU評価版のセットを配布 |
同社は、UNIXからWindowsへの移行ツールとして『Windows Servies for UNIX』(SFU)を出荷している。これは前バージョンまでは、UnixシステムとWindowsサーバーを共存させるような製品で、NFSのサポートやUnixのシェル、ユーザーアカウントデータの移行ツールなどからなっていたが、現在のバージョンは、Unix用に作られたプログラムをWindows Server 2003上で実行できるような環境が提供されている(ただし、再コンパイルなどは必要)。今回は、Unix管理者向けに、Windowsを解説するコースウェアとSFUの評価版をセットした『Essential Of Windows』というCDセットを会場で配布。また、ブース内のシアターで、同ソフトを説明していた。同社としては、来場する開発者にWindowsへの移行方法をアピールしていた。
昨年は、説明員と熱心に話し込むLinuxユーザーや議論している人もいたが、今年は、シアター形式の説明で、話を一通り聞くとバッグがもらえるとあって、わりとおとなしい感じだった。
サン・マイクロシステムズ
一方、米サン・マイクロシステムズ(Sun Microsystems)社は同社のさまざまな技術を展示していたが、興味を引いたのは、Linuxベースの“Java Desktop System”。これは、SUSE LINUXのLinuxをベースに独自のデスクトップシステムを構築、JavaアプリケーションやStarSuiteを組み合わせて企業向けのデスクトップシステムとして作り上げたもの。今回、米Tadpole Computer社にこれをライセンス、Tadpoleは、ノートパソコンにプレインストールして販売を開始した。
“Java Desktop System”。StarSuite 7やJavaなどが利用可能な企業向けデスクトップ。なお、春には日本語版ベータテストが開始される予定 | 米Tadpole Computer社は、サン・マイクロシステムズのJava Desktop Systemをノートパソコンにプレインストールして販売を開始 |
米Xandros社の“Xandors Desktopシステム”。新しいシステムかと思ったが、これは、かつてのCorel LINUXをベースにしたもの。どうもベンチャーがこれを買って新規ビジネスとしてDesktopシステムとして販売を始めたようである |
また、ブース内のシアターでは、開発中の3次元デスクトップである“Looking Glass”を公開。これは、Java3D技術をベースに作られた3次元表示を多用したデスクトップ。ただし、まだ開発段階で、将来のJava Desktopで採用される予定だという。まあ、見た目の印象は、Longhornの3次元デスクトップのデモと似ている。
というのも、現在、多くのパソコンが装備している3Dグラフィックスカードは、ゲームでもしない限りその能力を使い切っておらず、ハードウェアが遊んだ状態、これを有効活用し、かつ新規なデスクトップを作るのが流行というわけだ。
サン・マイクロシステムズの“Sun Ray”シンクライアント。フレームバッファとキーボード、マウスインターフェースだけの簡易なクライアントで、Javaカード(スマートカード)でユーザー認証を行なう。プログラムはすべてサーバー側で動作する |