現行のD-VHSデッキの中で、最も多機能を誇るビクターのフラッグシップ機「HM-DH30000」。D-VHSデッキに必要な機能がほぼすべて盛り込まれており、まさに“フルスペックモデル”と呼べる存在だ。
HDデコーダを内蔵し、単体でハイビジョン再生を実現
Gコード関連のボタンがまとめて配置されているのは便利だが、カーソルキーとOKボタンが離れているので、片手では操作しづらい。 |
本機のHDデコーダのメリットはもうひとつある。HSモードで記録できる最長記録時間は、ハイビジョン番組の場合、一般的なDF300テープで2時間半、かなり高価なDF480テープ(実売4500円前後)を使っても4時間にとどまる。本機が内蔵する「ビットレートコンバータ」を使えば、画質は標準放送並みに低下してしまうものの、ハイビジョン信号をSTDやLS3に落として長時間記録ができる。この機能を使ってLS3にコンバートすると、ハイビジョンでしか放送していない番組を480分テープに最大24時間も録画可能となる。
地上波などアナログソースのエンコード(デジタル録画)は、STD/LS3/HSモードに対応する。ただし、元がNTSC信号であれば、STDとHSモードの差はほとんどない。それぞれのモードでのエンコード画質の違いは「HM-DR10000」とほぼ同じなので、そちらを参考にしてほしい。ただし、本機は「GRT(ゴーストリダクションチューナ)」を採用しているため、地上波をエアチェックした際の画像の明るさ、解像度ともHM-DR10000を確実に上回っている。
フロントパネルには再生/停止など最低限のボタンのみが用意され、録画予約や番組の頭出しなどはすべてリモコンから行う。前面にはi.LINK(入力)端子も装備している。 |
D4端子と2系統のビデオ出力端子に加えて、光デジタルの音声出力端子(角型)を搭載しているのが大きな特徴だ。AAC5.1chで放送された番組を録画した場合、この端子からデジタル出力できる。 |
ストリーム記録や再生については、東芝、松下、ビクター製チューナとの組み合わせでi.LINK接続を正常に認識し、問題なく録画できた。本機でデコードした映像はディテールの再現力が高く、色の安定感も高い。
使い勝手については、ファンの動作音が比較的うるさいこと、本体側のディスプレイ周辺に配置された操作キーが小さくて表示も読みにくいため使いづらいといった、いくつか気になる点があった。また、HM-DR10000と比べると、細部の仕上げやリアパネルの作りにいまひとつ高級感がないのは残念なところ。
とはいえ、外部入力されたアナログソースのジッターを低減する「フレームシンクロナイザー」や、i.LINK経由でDVの映像を取り込める「DVデコーダ」を搭載するなど、機能的な面においては細かいところにも気の配られた魅力的な1台に仕上がっている。
メニュー画面は文字表示のみのシンプルなもの。本体の各種設定はこのメインメニューから実行し、「ビデオナビゲーション」からは録画した番組の検索を行える。 |
手動での録画予約はこの画面上で行う。過去の日付を設定しようとするとエラーになるため、間違って予約してしまうこともない。 |
BSデジタルチューナと接続してEPGで録画予約する場合、最初に録画モードを決めておく必要がある。ダウンコンバート機能で長時間録画できるのは本機の強みだ。 |
録画モード(D-VHS) | HS/STD/LS3 |
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内蔵チューナ | VHF/UHF/BS/CATV |
i.LINK端子 | 2系統 |
本体サイズ | 455(W)×345(D)×105(H)mm |
重量 | 6.0kg |