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Babylon、インターネット利用の辞書検索サービスを開始

2000年09月26日 22時09分更新

文● 編集部 小林久

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イスラエルのBabylon.com社は、日本事務所(バビロン社日本事務所)を開設し、国内向けの辞書検索サービスを開始した。

Babylonの日本語サイト

同社が無償で提供する検索クライアント『Babylon 3.0』を利用して、辞典(グロッサリー)検索が行なえるサービス。Babylon 3.0はメモリー上に常駐する“マウス辞書”の一種で、マウスクリックで選択したブラウザー上の英単語をキーワードにして、その単語の意味や訳語の検索、単位換算などが、ポップアップで行なえる仕組みになっている。日本語対応のBabylon 3.0のβ版は、同社のサイトからダウンロード可能で、容量は1MB程度。検索する辞書データの一部分をデスクトップ上にダウンロードして、オフラインで辞書引きを行なえるほか、インターネットにアクセスし、オンライン上にある辞書データを参照することもできる。

参照できる辞書の種類は、2000件を超えており、その中には『ブリタニカ百科事典』やビジネス/経済情報など、企業の所有するデータを提供するものだけでなく、個人が独自に用意した辞書データも含まれている。同社は“BABYLONビルダ”と呼ばれる、Babylon対応の辞書作成ツールを用意しており、ユーザーが独自に作った辞書データをウェブに公開し、他のユーザーと共有できる。辞書には画像データを貼り付けることも可能で、すでに動物図鑑やスーパーモデル名鑑といった類のグロッサリーも用意されているという。

来日したBabylon社Bussiness Development Directorのニコラス・ギダレビッチ(Nicolas Guidalevich)氏は、同社のサービスのメリットが、ユーザーの手で拡大できる点にあることを強調した。また、同氏「1ユーザーを獲得するためのコストは1セント」と、これまでPR活動をほとんど行なわず口コミだけで600万人近いユーザー数を獲得してきた点に触れながら、ビジネスプランの優越性を説いた。

Babylonのサービスは、英語が大半のインターネット上のコンテンツを英語のネイティブスピーカーでないユーザーがどれだけ、効率的に読めるかを主眼に始められたという。同社はこれまで、12ヵ国語対応辞書をイスラエルを本拠地として開発してきたが、今回海外としては初めて日本に営業所を置く運びになった。日本事務所の代表は米国・イスラエル企業を中心に国内での事業運営のアウトソースを受ける、ジャパン21(株)の加藤充氏が担当する。

初めての海外進出先に日本が選ばれたのは、「他国に比べ、日本市場特性は異なっているため、国内に常駐する人間が必要と判断したためだ」という。同社では、国内向けのサービスはすでに稼動しており、年内には日本語をキーワードにしたデータ検索と参照にも対応したいとしている。

ユーザーが作成した辞書データのひとつ。スーパーモデルの情報が参照できるようになっている

発表会の席上でギダレビッチ氏は、Babylonの目的が“コンテンツを提供するのではなく、コンテンツを公開する場を作る”点にあることを強調した。しかし、Babylonのサイトは基本的にボランティアベースで、コンテンツ提供者が課金する術がなく、辞書コンテンツの提供者側の明確なメリットが見えにくい。また、コンテンツや著作権保護に関しても「われわれは基本的にノータッチ」と、コンテンツをアップロードした人間の自己責任に委ねるという姿勢を取っている。今後、肖像権や著作権の侵害や、不法な内容を含むコンテンツが登録された際の不安も残る。

“ユーザーが作る辞書コミュニティー”を理想に掲げた、Babylonの戦略が吉と出るか凶と出るか、興味深いところだ。

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