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日米の証券業界関係者を招き、“日米シンポジウム 株式電子取引の新潮流”開催

1999年02月02日 00時00分更新

文● 報道局 佐藤和彦

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 (株)日本経済新聞社は、日米の証券業界の関係者を招いて“日米シンポジウム 株式電子取引の新潮流”を開催した。アメリカでは、すでにインターネットを利用した株式取引や取引所の電子化が進んでいるが、日本の証券市場は、ようやく電子取引化の緒についたばかり。



 株式電子取引のアメリカでの歴史や日本の今後について、日米の7人の証券業界関係者がパネルディスカッションを実施、その中からポイントとなる意見を紹介する。

米国のNASDAQは設立時から電子取引を実施~Robert M.Greber(ロバート・グリーバー)パシフィック取引所理事長



「アメリカのNASDAQ(ナスダック:National Association of Security Dealers Automated Quotations)は、米マイクロソフト社をはじめとするハイテク企業の多くが参加している証券取引所。NASDAQでは'70年代後半に設立された当初から、ネットワークを利用した電子取引を行なっている。コンピューターネットワークの中に、証券取引所が存在していることになる。ニューヨーク証券取引所などに追いつくためには、コストをかけずに取引量を拡大させる必要があり、きわめて先見性のある選択だったと思う」

NY市場もペパーレス化が課題に~Bill Lupien(ビル・ルピエン)米オプティマーク・テクノロジーズ社社長



「ニューヨーク証券取引所では、一部は取引の電子化が進められているが、取引量の増加に比例して、売買の手続きに伴う紙の書類どう処理するかという問題が発生した。いま1日に10億株の取引があるが、現在の状況が続けば数年後には、1日の取引は数十億に達する。こうなると、取引所のペーパーレス化を進めないと対応仕切れなくなるとみられている。コストの面からみても、取引の電子化はもはやさけられない段階にきている」

政府による管理のためにも電子化は必要~Brandon Becker(ブレンドン・ベッカー)元米国証券取引委員会市場規制局長



「株式取引の電子化は、証券市場の監視をする政府当局にとっても重要な意味を持つ。取引のデータを電子データとして入手できるので、インサイダー情報による取引などの不正行為も管理できるようになる。このことは、すべての参加者に透明で公平な証券市場を作る上で重要な意味をもってくる。現在ある議論としては、証券会社は、その時計の時刻を、米フロリダ州にある原始時計の時刻と一致させよう、という意見も出されているほどだ。取引データを簡単に集約できるという意味でも、電子化は重要な意味を持つだろう」

遅れていた日本でもようやく電子化が始動~淵田康之野村総合研究所資本市場研究室長



「日本では、大阪証券取引所がこの1月から、取引所で売買を行なう“場立ち”を廃止し、電子取引化を開始している。東京証券取引所も、4月から電子取引に移行する。アメリカと比べると、かなり遅れているという感じがあるが、'96年秋に金融改革を行なうと決めてからの動きは早かったと思う。アメリカの場合は、NASDAQのような後発の取引所がまず電子取引を開始した。また、インターネットによる株式の売買注文受付も、ディスカウントブローカーと呼ばれる手数料の安さがセールスポイントの証券会社が始めたものだ。このようにアメリカでは、株式取引の電子化は新興勢力が始めている。しかし、日本では東証、大証や大手の証券会社が取引の電子化を進めている。大手では決定までに時間はかかるが、動き出せば早いので、日本がアメリカに追いつくのもそれほど時間はかからないのでないか」

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