コンパックコンピュータ(株)は、企業戦略説明会“コンパックQフォーラム”を開催した。同会は、顧客、パートナー企業、報道向けに日本
ディジタル イクイップメント (株)(DEC)との合併後の戦略を説明するというもの。
高柳肇同社代表取締役社長 |
冒頭には、高柳肇同社代表取締役社長が『新生コンパックのビジネス戦略』と題して同社の現状と今後の戦略を説明した。同社は今後ハイエンドコンピューターの市場でAlphaプロセッサーを採用すること、サービス部門の需要増大に伴う強化を行なうこと、旧DEC製品、旧日本タンデムコンピューターズ(株)の製品を継続してサポート、機能強化を図ることの3点を戦略として掲げている。
同氏はコンパックとDECの合併、また昨年のタンデムとの合併に触れて以下のように語った。
「従来からパソコン、PCサーバーの分野では1位のコンパックに加え、タンデムの超並列サーバー『Himalayaシリーズ』、DECの『Alphaサーバー』を加えて、ビジネスで必要とされるシステムをローエンドからハイエンドまで提供できるようになった。またDECのAlphaプロセッサー、システム開発部門、世界的な保守・サービス体制を加えてサービス面でも強化された。タンデムの営業力、DECの技術サポート力、コンパックの量産体制といった3社の得意分野を組み合わせたシナジー効果を発揮していく」
DECとの合併時に米コンパックコンピュータ社のエッカード・ファイファー社長兼CEOは「Alphaプロセッサーを64bitでの業界標準にしていきたい」と発言している。10月にAlphaサーバーの新 品を発表した際にハイエンドの超並列サーバー『Himalayaシリーズ』にもAlphaプロセッサーを搭載することを表明しており、2000年をめどにAlphaプロセッサーを搭載した製品をリリースするとしている。これはAlphaプロセッサー標準化のための布石だという。同社は今後インテル社のプロセッサーとAlphaプロセッサーの両方を使用する“デュアルアーキテクチャー戦略”を展開するとしているが、デスクトップパソコンやノートパソコン、PCサーバーといったローエンドの大量販売を行なう市場ではインテルプロセッサーを、ワークステーションや高性能サーバーなどのハイエンドの市場ではAlphaプロセッサーを採用していくとしている。
IT(Information Technology)産業全体でシステムの保守や導入支援、運用支援などのサービス面での需要が増大していることを、米IBM社がハードウェアの販売からシステムの運用保守などのサービス部門へ事業展開をシフトしてきていることを例に挙げて説明した。今後、DECの持っていたサービス部門をいかしてこの需要に対応していくという。
馬場真同社取締役副社長製品統括本部長 |
3社合併により製品が増大した点に触れ、馬場真同社取締役副社長製品統括本部長は「SCOやDIGITAL
UNIXといったUNIX系OSや、OpenVMSなどすべての製品のサポートを続けていく。AlphaプロセッサーとDIGITAL
UNIXでは今後1年間で約300億円の開発投資行なう」とコメントしている。また、米インテル社が開発している64bitのプロセッサー“Merced”においてDIGITAL
UNIXを標準OSとしていくという。
Charles Warner(チャールズ・ワーナー)米アメリカ・オンライン社(AOL)上級コンサルタント |
このほかCharles Warner(チャールズ・ワーナー)米アメリカ・オンライン社(AOL)上級コンサルタントによりコンパック製品の導入事例としてAOLのシステムが紹介された。同氏はオンラインショッピングは試験段階から、ビジネスの場になりつつあると説明、書籍などのオンライン販売を行なう“Amazon.com”が、'96年の売上が1600万ドル(約19億円)から'97年には1億4800万ドル(約180億円)まで伸びていると例示した。オンライン販売は店舗を必要としない、ワールドワイドに販売できる、24時間営業できるなどの利点があり、今後より増大するという。米国ではすでにかなりの規模での電子商取引が行なわれており、今後6ヵ月では、淘汰が始まるだろうとしている。