PowerBook 2400cが97台集合した日本の極地的サブノート事情『極私的PB2400c頁』100万ヒット&1周年記念パーティー
1998年11月09日 00時00分更新
11月7日、アップルコンピュータ唯一のサブノート『PowerBook 2400c』のコミュニティーを代表するWebサイト『極私的PB2400c頁』の100万ヒット&1周年を記念するパーティーが東京・青山で開かれた。130名を超える参加者を集めて、日本のサブノートへ対する関心の高さを示した。そのパーティーの様子をニューヨーク在住のフリージャーナリスト、佐々木里恵氏の寄稿でお届けする。
女一人じゃ入りづらい?
会場となった東京・青山のフレンチレストラン“FLO表参道”。『極私的PB2400c頁』の垂れ幕が見える |
夕方の表参道。スーツ姿のいろんなタイプの男性たちがぞろぞろと、おしゃれなレストランに入っていくをの私(佐々木)は見ていた。「あのー、パーティーに来た方ですか? 一緒に入ってもらえません?」と女性から声をかけられた。「これ、女一人じゃ入りづらいですよね」と私。
「これ」とは11月7日土曜日、アップルコンピュータのPowerBook
2400c(以下、PB 2400c)コミュニティーを代表するWebサイト『極私的PB2400c頁』のパーティーだ。同サイトの100万ヒット&1周年を記念し、豪華絢爛時代絵巻と銘打って開かれた。東京・青山のフレンチレストラン“FLO表参道”を半分貸し切り、130人以上が参加。ドレスコードは正装というお達しが出ていたので(といっても普通のスーツ姿の人がほとんど)、この手のパーティーにありがちなキワモノ的な雰囲気は薄れていた。
午後6時、PowerBookがフィーチャーされていたことでも有名な映画『ミッション・インポッシブル』を洒落たPB2400cのオープニングムービーが披露される。『極私的PB2400c頁』の運営者、水谷成智氏がスパンコール付きゴールドのジャケットに赤の電飾付き蝶ネクタイというド派手な衣装で登場。簡単な挨拶のあと、これまた有名なWebサイト『POWERBOOK
ARMY』の運営者、飯嶋淳さんが「PowerBookコミュニティーの発展とWebページの更新が続くように!」と乾杯の音頭をとり、パーティーが始まった。
乾杯の音頭をとったのは、PowerBook関連のサイトとしては、海外にも知られている『POWERBOOK ARMY』の運営者、飯島淳氏 |
コミュニティーに貢献したショップやメーカーへの表彰式、賞品の大抽選会などが取り行われた後、このパーティーのメインイベントでもあるPB2400cの大撮影会へ。本体にシートや革などを貼ったお飾り系や点滅するスリープランプを改造したマシンなども含めて、参加者が持ち寄った97台(!)が床に並べられた様子は圧巻の一言。フラッシュが焚かれ、盛り上がりがピークに達したところで1次会は終了。しかし、これでも物足りない参加者はさらに2次会へと繰り出していった。
“ディープなコミュニティー”を生んだPB2400c
PB 2400cは、'97年4月にデビューした。日本のアップルコンピュータが主導し、日本IBMと共同開発された異色のマシンである。日本ではリリース前から期待が高く、そのとおりヒットした。その期待以上の仕上がりのゆえ、製造中止となった現在も高い人気を維持している。これを盛り上げてきたのが、その年の10月にスタートしたWebサイト『極私的PB2400c頁』というわけだ。総勢130名をこす、参加者が思い思いにカスタマイズしたPB2400cを持ち寄った。これだけ集まると圧巻! |
『極私的PB2400c頁』は本体や周辺機器の情報や、改造&お飾り系マシンやかばんの紹介など盛りだくさんの内容で人気を集めている。マシンの熱問題対策、大容量メモリー開発の要請署名といった運動を巻き起こしている。ショップやメーカーに働き掛けた結果、マシンを冷却するためのファン付きの台座『インタークーラー』や96MBメモリーが発売されるといった成果を生み出した。
男性の参加者が多かった同パーティーだが、実行委員長のポチこと田中裕子氏(左上)をはじめ、女性のユーザが見かけられたのもマックならでは? |
数々のオフ会も開かれている。今年2月にはマックワールドエキスポ会場にPB2400cが48台集合、そして8月には『PowerBook
2400cパーフェクトガイド』(ソフトバンク刊)が発売された。仲間意識が強いMacユーザーの中でも、PB2400cユーザーはかなりディープなコミュニティーを作り出している。
サブノートの市場は?
パーティーの実行委員長、mobile-dog.comサイトを運営するモバイル犬ポチこと田中裕子氏は「来年2月の“マックワールドエキスポ”でもPB2400cの撮影会をやります」と意気揚々。水谷さんは「パーティーが成功したのはみなさんのおかげです。狭いマーケットであるうえに、製造中止になってしまったPB2400cですが、このコミュニティーこそ財産です」と最後にまとめてくれた。『極私的PB2400c頁』を運営する水谷成智氏。今日のために京都から駆けつけた。「アップルにはぜひこのユーザーの熱い思いを知ってほしいですね」と語ってくれた |
スリムノートがブームの日本ではもっと軽いPowerBookが求められているはず。ソニーのVAIOをはじめ米国においてもサブノートへの関心は確かに存在するが、PowerBook
2400cの米国での売り上げが今一つだったことから、アップル本社の評価は低い。こういった日本のユーザーの熱い思いと確実に存在する市場に対する認識がアップル本社に届いて欲しい、と切実に感じた印象的なパーティーだった。