ファイルメーカー(株)は、13日、“FileMaker Forum'98”を東京“ラフォーレミュージアム六本木”で開催した。企業やワークグループのビジネスユーザーを対象にした無料のセミナーである。
TCO(Total Cost of Ownership)削減に向けた、効果的なインフォメーションマネージメントを検証するという触れ込みであった。実際には、クロスプラットフォームだからコストパフォーマンスが高い、実行可能なファイルで配布できるので安価になる、といった点を強調するにとどまった。
まず代表取締役の宮本高誠氏が、企業におけるTCO削減への実現に向け、次のように述べた。「情報を縦横に結び、一元的に管理することが必要。わが社の『ファイルメーカーPro』もそうだが、データベースソフト本来の姿とは、リアルタイムなデータの集積ツールであるはず。教育、コスト削減、メンテナンスなどにおいて、企業に役に立つものでなければならない」
ファイルメーカー(株)代表取締役の宮本高誠氏 |
「企業情報管理を実現するためには、戦略をもった方法を考える必要がある。それは、今あるデータや機材の活用であり、使いこなせる環境を選ぶことであり、それが時間、コストパフォーマンスを高めることにつながる。そういう意味では、わが社が、『ファイルメーカーPro』をMacintosh版、Windows版のクロスプラットフォームで提供してきた理由もお分かりいただけるはず」
また、今後の同社の戦略として、「既成概念にとらわれず、エンドユーザーコンピューティングによいことは、のびのびと取り入れたい」とした。
加えて、「データベース作成や外部関数プラグインを開発するキット『ファイルメーカーPro
Developer Edition』には、『ファイルメーカーPro バインダ4.0』を同梱。これにより、利用するマシンに『ファイルメーカーPro』をインストールしなくても、データベースファイルの実行が可能。アプリケーションがなくても、ソリューション開発をサポートできる」とネットワークイを利用して、データベースを有効活用できることを強調した。
また、ゲストプレゼンテーションとして、日本オラクル(株)営業統括本部NT事業推進部ソリューション担当の宮原徹氏も登壇。まず、自社のシェアの高さのアピールから始まった。「世界におけるわが社のシェアは、UNIXで59パーセント、Windows
NTで49パーセント。日本では、UNIXとWindows NT合わせて66.2パーセントのシェアを持つ」
日本オラクル(株)営業統括本部NT事業推進部ソリューション担当 宮原徹氏 |
「オラクルは、データとデータの関連付けが可能な、リレーショナル型データベースを中心とした業務を処理している。クライアント/サーバー形式なので、データとプログラミングの切り離しが可能。これにより、プログラム間でデータが共有ができる。複数が同時にアクセスできる」と、データベースの有効性について触れた。
『ファイルメーカーPro』との連携については、「異なるシステムでもデータのインポートが可能な、ODBC(Open
DataBase Connectivity)がサポートされたことは重要。これにより、わが社をはじめ、さまざまな他社ソフトのデータを活用できる。こうした互換性が図れるというのは、ユーザーにとっても大きな魅力だろう」とした。
これついては、ファイルメーカーの宮本社長も、「相互補完していけるような協力関係を築いていきたい」とコメントしている。
同社の事前調査によれば、フォーラムに参加したユーザーのうち約7割が『ファイルメーカーPro』の利用者。また、全体の約6割がMacintoshとWindowsのクロスプラットフォーム環境にあるという。実質に役立つのは、こうした完全互換が図られている部分ではないかとしている。セミナーで実施された『ファイルメーカーPro』のデモンストレーションや、ユーザー事例もその趣旨にそったものだった。クロスプラットフォーム環境や、またこうした環境を前提としたネットワークでのデータベース利用が強調されていた。
同フォーラムは、6日に福岡でも開催されており、約500名の入場者を集めたという。2回目となった今回は約800名の来場となった。今後11月27日まで、札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島の全国主要6都市、8会場で実施される予定。