トレンドマイクロ(株)の100パーセント子会社であるアイピートレンド(株)は13日、中小企業向けオールインワンサーバー『ipStax』を発表した。OSにLinuxを採用し、ウェブサーバーやメールサーバーといった企業のインターネット化に不可欠な機能をパッケージ化した上で、月額3万円からという低価格設定が特徴。また管理は同社がリモートで行なうため、ユーザー企業は低コストでサーバーを運用することが可能になるという。同社は、いまだ手つかずの状態となっている中小企業のインターネット化を大きなビジネスチャンスと捉え、今後は提携企業の業務アプリケーションをサーバーとセットで提供するなど、中小企業のe-Business化を支援する事業を展開していく考えだ。
『ipStax』 |
ipStaxは、企業のネット化に必要なサーバー機能を集約したオールインワンサーバー。CPUはCeleron-500MHz、128MB(SDRAM)のメモリーを装備。HDDはデータ損傷に配慮し、IDEの20GBタイプ(Ultra-ATA/66)2基をRAIDにより二重化した。外部との接続にはADSLやISDNから一般回線によるダイヤルアップ接続までサポートし、ローカル向けインターフェースとして100BASE-TX/10BASE-TのEthernetポートを1ポート備えた。また無停電電源装置(UPS)も装備している。
OSはLinuxを採用。ウェブサーバーの“apache”、メールサーバーの“sendmail”、ファイルサーバーの“Samba”など、必要とされるサーバー機能は一通り備えている。またトレンドマイクロのサーバー用ウイルス対策ソフト『InterScan
Virus Wall』もバンドルし、セキュリティー関連企業を親会社に持つ強みを活かした。
サーバーは、同社サポートセンターからリモートで管理される。製品出荷時にあらかじめIPアドレスとサポートセンターの電話番号を登録しておき、利用開始時にはサーバーをインターネットに接続すれば、スタートアップ作業もリモートで実施してくれるという。バンドルソフトの更新や障害警報の発信などもサポートセンターがインターネット経由で行なう。サーバーの月ごとの利用状況をレポートして送付するサービスも用意している。
出荷開始の時期は未定だが、台湾では7月に発売する予定。価格は、30ユーザーまでの“安心インターネットサービスビジネスパック”が月額3万円から。50ユーザーまでは1ユーザーごとに月額500円が加算される。
同社は「既存のサーバーパッケージと比べ格安な上、リモート管理サービスにより管理コストの負担が減らせる」とコストメリットを強調。SI業者と販売提携を結び、コスト高からネット化に及び腰だった中小企業へ売り込んでいく。また将来はソフトベンダーと提携し、会計ソフトといった中小企業向け業務アプリケーションを組み込んで販売することも考えているという。
アイピートレンド取締役CEOのスティーブ・チャン氏(右)と同社代表取締役COOのマヘンドラ・ネギ氏 |
都内で開かれた記者発表会で、同社代表取締役COO兼CFOのマヘンドラ・ネギ(Mahendra
Negi)氏は、米国の中小企業750万社のネット普及率が40パーセントなのに対し、日本の350万社は20パーセントにとどまっていると指摘。その上で「中小企業のインターネット化は未開拓の巨大な市場。ソフトとハードを一体化した付加価値の高いネットワークサーバーを提供し、中小企業のネット対応促進を支援していきたい」と述べた。