ここしばらく、新しいディストリビューターの登場や合併、大手の資本参加など、動きが激しくなっているLinux業界だが、やはりその本質はどれだけ使いやすい製品が登場するかにある。中でも期待されているのは、アップルのMacで使えるLinuXディストリビューションの登場である。その1つが米LinuxPPC社の開発している『LinuxPPC』であり、最新版の『LinuxPPC
2000日本語版』が、今月の4月20日よりいよいよリリースされる。ここでは、ひと足先にMACWORLD
Expo/Tokyo 2000で公開された英語版の内容について紹介する。
RedHatLinux6.1をベースとし、CD-ROMから簡単にブートできる『LinuxPPC 2000』
“Think Linux! LinuxPPCの世界”と題されたこのコンファレンスは、先ごろ千葉・幕張メッセで開催されたMACWORLD Expo/Tokyo 2000のコンファレンスプログラムの1つとして、LinuxPPC社とLinuxPPCの国内販売代理店であるアミュレットと共同で行なわれたもの。自らプレゼンテーションをするために米国からやってきたLinuxPPC社のCEOであり、LinuxPPCの開発者でもあるジェフ・カー氏は若干26歳。IT業界で年若いCEOは珍らしくないが、スーツを着ていなければ大学生に間違えそうな風ぼうだ。しかし、そこはやはりCEO。ほぼ満席の来場者を前に堂々とした態度でプレゼンテーションを行なった。![]() |
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![]() | LinuxPPCのCEOジェフ・カー氏は若干26歳。技術者としてもLinuxコミュニティーで積極的な発言をしている |
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『LinuxPPC 2000』は、RedHatLinux6.1をベースとしていて、CD-ROMから簡単にブートできるのが1つの特徴になっている。また、Linuxインストールの難関ともいわれているハードディスクの設定画面をGUI仕立てにし、より直感的にしかもMacユーザー側にアレルギーを起こすことなく操作できるようになっている。インストールからLinuxを立ち上げるまでのスムースさはあっけにとられるほどで、Linuxビギナーでも簡単にできそうだ。一度インストールしてしまえば、後はLinuxPPCのファイルを呼び出すだけで立ち上げられる。
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インストールの際の画面の流れ。インストールが完了するとMacのシステムの中“miboot”と、そのほかに“yaboot”というファイルが作られる |
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LinuxPPCのOS選択画面。ここでLinuxとMac OSのいずれかが選べる |
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Linuxを選択すると自動的にカーネルが読み込まれ、画面がこのようになる |
デモマシンはアップルの最速マシンG4とMac OS 9という組み合わせだったが、操作性にはまったく問題はなかった。話によるとiBookなどのノートブックでも十分にインストールできるようだ。デスクトップ環境は、Linuxではおなじみの『GNOME』と『KDE』があって、デモではGNOMEが使われていたが、これらはログインの際にいろいろ設定ができるようになっている。その場合の設定もクリック操作で、コマンドをキーインする必要はないのだ。
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GNOMEの選択画面が現われた |
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表計算やワープロ、ブラウザー、スケジューラなどLinux上で使えるさまざまなソフトが紹介された |
ライブでのインストール作業を終えたあと、カー氏はLinuxで使えるさまざまなソフトを紹介していった。表計算の『Gnumeric』をはじめとしたオフィススイートや、2Dやアニメなどのグラフィック操作がすべてできるグラフィックソフト『The
GIMP』など、Linux環境でも素晴らしいソフトが登場しており、それらがほとんど無料で手に入れられることを強調した。
また、分子構造式が立体的に作図できる『3CRO』など、Macユーザーが心を魅かれるようなソフトのデモも忘れていない。加えてJava2のポーティングができるデベロッパーキットや、さまざまな開発ツールが登場しているので、幅広いニーズに応えることが可能だという。コンファレンスのまとめでカー氏は、市場全体のビジョンとして将来的には映像やMP3などのマルチメディア系やサーバー構築関連のソフトも充実してくるだろうとコメントしている。
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Linux界では大人気(?)のゲーム『Xbill』は、かのビル・ゲイツ氏そっくりなキャラクターがパソコンにWindowsをインストールしようとするのを阻止するゲーム。会場は爆笑の渦に |
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立体的な化学式をかんたんに作図できる3CRO。動きもかなりスムーズ |
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Linuxでは有名な超強力なグラフィックソフト『The GIMP』の最新バージョンも紹介 |
Linux上でMac OSを動かすエミュレーター『Mac on Linux』も
さらにカー氏は、ハードウェアもより高速なマシンが登場し、Macユーザーにとって待望のPower PCクローンも登場するだろうとした。最後のしめくくりとして、Linux上でMac OSを動かすエミュレーター『Mac on Linux』も紹介された。これはMac上で動くLinuxPPCの上でさらにMac OSを動かすというものだ。PCIバスモデルならPowerPCマシンで、そのほかは7200以降のマシンに対応する。さっそくデモも行なわれ、LinuxPPCを立ち上げた画面の中に見慣れたMac OSのスタートアップ画面が現われると、会場からは歓声と共に拍手が沸き上がった。![]() |
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Mac on Linuxを使ってLinux PPC上でさらにMac OSを立ち上げると、会場からは歓声が沸き上がると共に拍手喝采となった |
なお、LinuxPPC1999日本語版は同会場のアミュレットブースにて発売されたそうだが、予定していた100本は2日で売り切れ。Expo終了後も大手からの発注が急増しているという。なお、20日に発売の日本語版は、LinuxPPC
2000英語版CD-ROM、日本語化環境『雪風』CD-ROM、インストールガイド(雪風に収容)、『Mac-On-Linux』が付属(但しサポート提供はない)。
価格は4800円(税、送料別)。動作機種や環境がやや厳しいもののEthernetまでサポートされるなど、完成度が高められている。約70ページにおよぶインストールガイドは、ほぼすべてが日本語訳され、発売前にアミュレットのウェブサイトより無償公開される予定だ。
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有料のカンファレンスにも関わらず、会場はほぼ満席となった。日本初公開ということもあってか、終了後も質疑応答が相次ぎ、関心の高さを伺わせた。カンファレンス終了後には、カー氏が自ら抱えてきたという、LinuxPPCの最新版CD-ROMがプレゼントされ、会場は即席のジャンケン大会が始まり、最後の最後まで盛り上った |
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