(株)ヒューリンクスは14日、数学の計算を数式を使ってWYSIWYGで実行できる科学技術計算ソフト『Mathcad2000』を発表し、都内の同社で発表会を開いた。分数や指数などを使った数式を、プログラム言語による記述でなく、教科書などでおなじみの一般的な表現で書いて計算を実行することが可能。フーリエ変換やフラクタル描画など高度な機能も備えている上、ExcelやCADソフトのデータを埋め込んでドキュメントを作成することもことも可能。同社では、「高度な計算を見慣れた表現で記述でき、数学計算プログラムを理解できない技術者とも情報のやり取りが可能になる」としている。
Mathcad2000は、記号を用いた一般的な表現で数式を記述し、計算を実行できる計算ソフト。米MathSoft社の製品で、これまで世界で140万ライセンスを出荷した実績があるという。多くは製造業などの企業向けだが、大学約2000校で導入実績があるとしている。
同ソフトの最大の特徴は、数式を通常の表現でそのまま記述できる点。研究者や技術者が高度な計算を行なう場合、一般的にはCやFORTRANなどのプログラム言語や計算専用ソフトを使用して、計算プログラムを書く必要がある。だがこの場合、相手がプログラムを理解できないと計算過程を共有することができない。また関数電卓などを使って計算を繰り返しても、途中で紙に計算結果を書き写しながらだったり、計算過程が残らないなど不便な点が多いという。
Mathcad2000の画面 |
同ソフトでは、指数やルート、行列や微積分を含む数式を、記号を使った一般的な表現で書き、そのまま計算を実行できるソフトとして開発された。各記号はツールパレットに用意され、マウスクリックで入力できる。計算式中の定数を定義し、変数を代入してやればそのまま計算結果を表示してくれる。
またExcelワークシートや3次元CADデータ(DWG形式)、OLE対応ソフトの画像などを埋め込んでドキュメントを作成することも可能。このため、企業の新製品の開発データを、計算式からグラフ、CADによる設計図まで、同一形式のドキュメントに統合して管理することができるという。
対応OSはWindows 95/98/NT 4.0。製品は“Professional”と“Standard”の2バージョン用意される。Standardでは、高度な線形代数計算や偏微分方程式の解析、CやC++で記述した関数の取り込みなどができないなど、機能が制限される。価格は、Professionalが8万8000円、Standardが4万8000円。Professionalでは、学生や教職員向けのアカデミック版が4万8000円で提供される。
ヒューリンクス専務の糸山義郎氏 |
発表会で、ヒューリンクス専務の糸山義郎氏は、「“エンジニアリングOA”とでもいうべき分野が日本にはない。技術者専用のツールとして、計算結果が残る電卓として使ったり、技術文書作りに役立ててほしい」と述べた。