アイルランドのアイオナテクノロジーズ社は8日、東京都内において記者発表会を開催し、日本支社となる日本アイオナテクノロジーズ(株)の設立と、日本における市場戦略、および2000年に出荷予定の次世代ミドルウェア製品『Orbix
2000』を発表した。
アイルランドのアイオナテクノロジーズ、会長兼CEOのクリス・ホーン博士 |
アイオナテクノロジーズは、企業のインターネットコマースサイト、大規模分散アプリケーション関連製品、全社規模のアプリケーションを統合するポータル製品やサービスを提供する会社。同社のミドルウェアプラットフォームは、マイクロソフトやIBM、サン・マイクロシステムズが提唱する、“Enterprise
JavaBeans”“CORBA”“DNA2000”といったオープンスタンダードによる分散コンピューティングをサポートしている。
今回来日した、アイオナテクノロジーズ社会長兼CEOのクリス・ホーン(Chris
Horn)博士は、日本市場への直接進出について、「日本はアジアにおいて、最も重要な市場であり、e-ビジネスやソフトウェアインテグレーション分野のパートナーとともに、日本市場においてのビジネスを大きく成長させていけることを確信する」と述べた。
日本市場における戦略としては、従来から代理店契約を結んでいる(株)東洋情報システムおよび日本電気(株)を通じたセールスを展開するともに、一部製品の直販も開始するとしている。また、CORBAを用いたエンタープライズ規模の統合製品やサービスを提供できるシステムインテグレーターとの提携を通じて、新規チャネルの開拓を目指すとしている。
日本アイオナテクノロジーズ社長で、アイオナテクノロジーズのアジアパシフィック担当副社長のマイケル・ベレット氏 |
日本アイオナテクノロジーズ社長で、アイルランドアイオナテクノロジーズのアジアパシフィック担当副社長のマイケル・ベレット(Michael
Verretto)氏は、「(日本アイオナテクノロジーズは)ソフトウェアの販売やコンサルティング、トレーニング、カスタマーサポートを提供し、システム開発経験を持つソリューションプロバイダーとの提携を進めていきたい」と述べた。
これについて、日本アイオナテクノロジーズでは、技術面での同社の認定を受けたパートナーに対し、再販権や無償のプロトタイピング用ライセンス、特別価格でのトレーニング、マーケティングサポートといったインセンティブを提供する“ソリューション・パートナー・プログラム”を開始する。
アイオナテクノロジーズでは、企業内の既存のシステムを相互に関連づけ、インターネット・ユーザーや、企業間取引のための情報基盤を提供するための、スイート製品“IONA
iPortal Suite”を発表している。
このスイート製品は、インターネットと企業内のさまざまなリソースを統合するウェブ・ポータル・サーバー『IONA
iPortal Server』、異なる環境の相互接続を可能にするメッセージング・ルーター『IONA
iPortal Integration Server』、Enterprise JavaBeansを実装したアプリケーションサーバー『IONA
iPortal Application Server』、最新のCORBA標準をサポートし、既存の製品との相互運用性を重視した、アプリケーション統合プラットフォーム『Orbix
2000』の4製品から構成される。
このうち、Orbix 2000はすでにベータ版が提供されており、製品版は2000年2月にリリース予定。動作環境はWindows
NT、UNIX(Linux、Sun Solaris、HP-UX)となっている。このほか、iPortal
Application Serverも2000年2月のリリース予定、iPortal Integration Serverは2000年第2四半期、iPortal
Serverは2000年第3四半期にリリースが予定されている。
日本アイオナテクノロジーズでは、Orbix 2000を中心として、最先端のe-ビジネス開発を可能にするiPortal
Suite製品群の販売に注力し、これらの販売を会わせて2000年に8億円の売り上げを目指すとしている。