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伊藤忠がオンライン証券会社を設立、10月から営業を開始へ

1999年08月06日 00時00分更新

文● 編集部 小林伸也

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総合商社大手の伊藤忠商事(株)(本社・大阪、丹羽宇一郎社長)は、商社としては初となるオンライン専門の証券会社を10月1日からスタートさせる。新会社には(株)第一勧業銀行、朝日生命保険相互会社、マイクロソフト(株)らが参加する。

インターネットや電話、ファクシミリのほか、テレビや携帯端末など各種端末からのアクセスが連動するシステムを開発し、国内初の365日24時間運用を実現することで顧客の獲得を目指す。

新会社の名称は日本オンライン証券株式会社を予定し、サービス名称は“kabu.com(カブ・ドット・コム)”。営業開始時の資本金20億円のうち、伊藤忠が半分以上を担当し、残りを第一勧銀、朝日生命、マイクロソフトらが出資する。すでに4月、東京都内に準備会社を設立しており、証券業者として認可されれば、株式委託手数料の完全自由化が実施される10月1日に合わせて営業を開始する予定だ。

同社の売りは“国内初のマルチチャネルオンライン証券システム”をうたう新開発のシステムだ。売買注文や入出金処理など、取引にはインターネットや電話、ファクシミリに加え、携帯電話やPDA、WebTV、家庭用ゲーム機といった豊富なオンライン端末がシームレスに利用でき、顧客のデータはアクセスごとにリアルタイムでアップデートされる。そのため、自宅のパソコンからウェブ上で注文し、出先から携帯電話で注文状況を確認し、資産残高をメールとファクシミリで同時に受け取る、といったことが可能になる。

オンライン端末の完全連動を実現した証券取引システムのデモ
オンライン端末の完全連動を実現した証券取引システムのデモ



またこれまで大手証券会社のオンラインサービスが対応していなかった24時間365日の売買注文受け付けを実施する。取引業務以外にも、自社サイトから金融ニュースや株価情報を提供することで投資家をサポートするという。

株式売買を注文するウェブのデモ画面
株式売買を注文するウェブのデモ画面



現在、オンラインでの証券取引に参入している業者は約30社あり、10月以降は50社ほどに増えるとみられる。同社では、顧客ニーズに対応したシステムで差別化を図り、営業開始から5年間で30万口座の獲得を目指す。

伊藤忠商事では、情報産業と金融分野などを事業の中核として展開しており、今回の新会社スタートもその一環。当初は社員約30人と少数でのスタートとなるが、設立準備会社の臼田琢美氏は「少数精鋭で経費を抑えた分、手数料を安くできる」と話す。その上で「手数料の安さだけで勝負するのではなく、大手証券会社ではできない便利なシステムや情報を提供することで、投資家の“サポーター”のような形態にしていきたい」と話している。

「オンラインの取引システムを1から構築した唯一の会社。競争力はある」と話す臼田氏「オンラインの取引システムを1から構築した唯一の会社。競争力はある」と話す臼田氏

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