ソニーコミュニケーションネットワーク(株)(SCN)は、日本アイ・ビー・エム(株)(日本IBM)の技術支援を受け、日本IBMの音声認識ソフト『ViaVoice
98 日本語版 Friendly Speak』に対応した、愛玩電子メールソフト『PostPet
for Windows ver.2.0jp ViaVoice対応版』(以下:PostPet ViaVoice対応版)を開発したと発表した。対応OSはWindows
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日本IBMは、『ViaVoice 98 日本語版 Friendly Speak』とPostPet ViaVoice対応版をセットにしたパッケージ製品『ViaVoice
98 Friendly Speak with PostPet ViaVoice対応版』(以下:ViaVoice with PostPet)を9月10日に発売する。価格は2万1円。PostPetの人気キャラクター“モモ”に合わせたピンク色のマイクロフォンを同梱する。
またSCNは、ViaVoiceユーザーを対象に、PostPet ViaVoice対応版を、同社のPostPetホームページ上で9月からオンライン販売する。価格は2980円。
『PostPet ViaVoice対応版』新機能
PostPet ViaVoice対応版は、声でペットとコミュニケーションを取ることが可能になった。メイン画面の右下にペットの顔のマーク“ペットインジケーター”が追加され、Ctrlキーを押しながら、褒め言葉やいやな言葉を言うと、ペットがその言葉に反応し、ペットインジケーターの色が変化、ペットの幸福度が変動する。例えば、「かわいい」と褒めると、ペットインジケーターが緑色になり、幸福度が上がる。「汚い」などと言うとペットは怒り(ペットインジケーターは赤色に変化)、「急げ」と言うと、通常より加速して動く(ペットインジケーターは黄色に変化)。また、メイン画面左下には、マイクロフォンの音声入力状態や音声レベルを表示する“マイクロフォン音量レベル表示”が追加された。もちろん音声によるメニュー操作や文章入力も可能。「ファイル」や「世話」と発声すると、それぞれのメニューバーが表示される。「おやつ」でおやつウィンドーが開き、「おせちをあげる」で、ペットにおやつの“おせち”をあげられる。「メールチェック」、「おともだち帳」、「受信簿」、「ペットを洗う」など、各コマンドはすべて音声コマンドで操作可能。
また、各コマンドの一連の操作を、音声コマンドで直接行なえる“ショートカット”機能を搭載しており、例えば、「みかんをあげる」、「モモぬいS*を置く」など、これまでメニューコマンドを順番に選択しなければならなかった操作が、1度で行なえるようになった。
*モモぬいS:ペット用のおもちゃ。モモのぬいぐるみ(Sサイズ)のこと
アドレス帳の“おともだち帳”に、“あだな”を登録でき、あだなを含む音声コマンドで、そのあだなを持つ人に宛てた新規メールウィンドーが自動で開くようになった。例えば“ふなくぼくん”とあだなを登録すると、「ふなくぼくんにメールを書く」と発声すると、ふなくぼくんのメールアドレスがあらかじめ入力された新規メールウィンドーが開く。Subjectやメール本文も音声入力可能。
既存のPostPetに、PostPet ViaVoice対応版を上書きインストールした場合、もともとのペットの状態や受信簿の内容などは引き継がれるという。
発表会場には生モモ兄とモモガールも登場
発表会場では、SCNの取締役である小平恵洋氏が、「パッケージ製品『PostPet
2001』は、'99年6月末現在で36万9000本出荷しており、新しいインターネットコミュニケーションツールとして確立した。さらにキャラクターが一般的なものとして人気が出てきている。現在はペットブームだが、ペットは元来話しかけるものである。よってPostPetのViaVoice対応は、前世から決まっていた恋人同士が逢うべくして逢ったようなもの。PostPetが音声に対応したということだけでなく、これらが一緒になることで2乗3乗の効果がユーザーに提供できると思う」と挨拶。発表会場には生モモ兄とモモガールも登場。中央がSCNの小平氏 |
続いて日本IBMソフトウェア事業部の岡部春樹氏が製品説明を行なった。「PCを声で使う楽しさをより多くの人に感じてほしい。今回の製品がPCの初心者ユーザーへの橋渡しとなれば、今後のPC利用に対するひとつのソリューションを提供できると思う。キャラクターを声で操作だけでなく、声でペットとコミュニケーションするということで、よりフレンドリーな一歩進んだツールとなった」
ViaVoice with PostPetに同梱するピンクのマイクロフォンを装着した岡部氏。「このマイクロフォンは、従来よりViaVoiceに同梱している製品をピンクにしたもので、機能などは同じ。実はマイクロフォン同梱にあたってはいろいろ検討し、このようなものを付けようかとの話も出たのですが……」と取り出したのは、モモ耳付きマイクロフォン! 「結局取りやめました。幻のプレミアムグッズですね(笑)」
取りやめた理由は、「マイクロフォン自体はプラスチック製で、3年から5年くらいは製品寿命としてもつものなんです。ところがモモ耳はふわふわした布ですから、どうしても痛みがはやい。洗っても色あせてしまいますし、どうしても耳の部分だけ先にダメになってしまうので、あきらめました」とのこと。
これが幻のグッズとなってしまった耳付きのマイクロフォン。個人的な感想で恐縮だが、過去モモ耳をゲットできなかった身としては、ぜひ同梱していただきたかった |
デモンストレーションを行なったのは、PostPetユーザーにはお馴染みのSCNプロデューサー北村道雄氏。報道関係者からの「なぜ日本電気(株)の『SmartVoice』を採用しなかったのか?」、との問いに「開発の検討に入ったのが'98年秋だったのですが、その当時、私がViaVoiceしか知らなかったんです」と回答。NECのSmartVoiceはまだしも、ソニー(株)では、同じく音声認識ソフト『DragonSpeech
Select』の日本語化を現在行なっているところ。何か言われたりしませんか? 「いやあ、うちは好きにやらせてもらってますから」。
「今のところ、ViaVoice対応版の後に、SmartVoice対応版出荷、などというように、製品個別に対応する予定は今のところありません。今回の製品は、PostPetとViaVoiceというだけでなく、企業間の強いタイアップであり、日本IBMとSCNとのアライアンスという意味合いが強いのです。今後もまったく対応しないと言っているわけではないのですが、製品シリーズが細かくなってしまうと、ユーザーが混乱してしまいますから。本当は、“ViaVoice対応版”、“SmartVoice対応版”というようなものではなく、音声認識ソフトなら何でも対応できる“PostPet
音声対応版”をリリースするのが理想ですね」
ViaVoice with PostPetは、一般店頭発売は9月10日だが、9月7日から9日まで幕張メッセで行なわれる“WORLD
PC EXPO '99”の日本IBMブースで先行販売される。また、今後発表する日本IBMのデスクトップPC『Aptivaシリーズ』や、ノートPC『ThinkPad
i-シリーズ』の秋発売製品に、PostPet ViaVoice対応版を搭載するという。