エヌ・ティ・ティ移動通信網(株)(NTTドコモ)と日本サン・マイクロシステムズ(株)は、共同で記者会見を開催し、NTTドコモが2月にサービスを開始した携帯電話の新サービス“i(アイ)モード”に関して技術協力の覚え書きを締結したことを発表した。この覚え書きは、同サービス用の端末に、米サン・マイクロシステムズ社のJava関連技術の導入するための研究開発を共同で行なう内容となっている。具体的には、Javaのソフト開発環境、Javaの分散オブジェクト技術であるJini、およびICカード用ソフトをJavaで開発、利用するための技術Javaカードの導入が検討されている。
これらの技術の導入により、“iモード”は、現在のウェブの閲覧や電子メール、インターネットバンキング、チケット予約などのオンラインサービスに加えて、セキュリティ強化や、ゲームやソフトウェアなど、コンテンツのダウンロードなどの機能拡張が可能になる。また、Javaアプレットによるソフトウェアの機能追加や、拡張も容易に行なえるという。
エヌ・ティ・ティ移動通信網の榎啓一ゲートウェイビジネス部長(右)と米サン・マイクロシステムズコンシューマーアンドエンベデッド事業部プレジデントMark Tolliver(マーク・トリバー)氏(左) |
会見にはNTTドコモから榎啓一ゲートウェイビジネス部長が、米サンからはコンシューマーアンドエンベデッド事業部プレジデントMark
Tolliver(マーク・トリバー)氏が出席、提携に関する説明を行なった。今後は、“iモード”端末にJava、Jini、Javaカード技術を導入するための研究を共同で進めていくという。
両社では、'99年内に試作機を開発し、商用ベースの端末は2000年内をめどに発表するとしている。端末の開発に関しては現在、富士通(株)、松下電器産業(株)、三菱電機(株)、日本電気(株)の各メーカーと交渉中で、このうち三菱からはすでに開発の意思表示を受けているという。また、NTTドコモが次世代通信方式として2000年3月にサービス開始を予定している次世代通信規格、W-CDMAへのJava、Jini、Javaカードの技術の導入も検討するという。
会見場での記者団との質疑応答は以下の通り。
----iモード端末にJavaを導入するメリットは。
「オープンプラットフォームであるJavaの導入で、電子メールサービスやインターネットコンテンツをユーザーに容易に提供することが可能になる。また、広く普及している携帯電話で電子メールなどを手軽に楽しむことで、インターネットに興味を持つユーザーが増えることも期待している」
----今後、“iモード”用のコンテンツはすべてJavaで記述されるのか。
「すべてJavaでというわけではない。コンテンツをどの言語で記述するかは開発者の判断」
----15日に発表した、英シンビアン社とのPDA向けOSに関する提携とは関連するのか。
「担当ではないのでコメントできない。ただ、シンビアンとはPDAベースの提携だと聞いている。今日の発表はあくまで携帯電話に関する提携だ。対象分野が異なると認識している」
----“iモード”による電子マネー分野への進出を予定しているか。
「NTTドコモは通信サービス業者なので、直接進出は予定していない。ただ、他のパートナーと提携して、この分野へのアプローチは行なうことになるだろう」
榎氏は、「2年前に“iモード”の構想を思い立ったときには、携帯電話にブラウザーを入れられるとは思っていなかった。技術の進歩でそれが可能になった。現在の“iモード”は、ドコモが独自に開発したブラウザーを搭載している。言うなればドコモの押し付けなわけで、Javaが導入されれば、ユーザーの自由度も向上する」
「今回の提携で、サンからの技術協力を受けることができる。これによりさらに充実した“iモード”サービスを提供していきたい」とコメントした。