──デュアルモニターへの対応はやはりユーザーの強いリクエストがあったのでしょうか?
そうですね。特にAdobe Bridgeを使うユーザーから強い要望がありました。いままでLightroomはひとつのウィンドウ内で現像から公開までの一連のワークフローを行っており、現像中に写真をセレクトし直したいといった場合には一度ライブラリに戻る必要がありました。しかし、デュアルモニター対応により、片方の画面で写真を選んでダイレクトに現像できるため、ウィンドウを行ったり来たりする手間が省けるようになったのです。
ブラシ機能を追加したのもユーザーの希望に応えるためです。例えば、白飛びを補正したいといった場合、従来の機能では写真の一部を加工することはできませんでした。そのため、Photoshopでファイルを開いてレタッチしなければならなかったのです。しかし、「補正ブラシ」機能を搭載したので、Photoshopを持っていない人も部分的な補正ができます。
とはいえ、Lightroomを使うプロフォトグラファーの多くは、Photoshopで色調補正を行っています。アドビとしても、レイヤーやピクセル単位の編集といったさらにつっこんだ作業はPhotoshopを使ってほしいと思っています。そこで、バージョン2ではユーザーの負担を少しでも減らすため、32ビットのHDR(ハイダイナミックレンジ)への統合、スマートフィルターへの変換に対応し、ワンクッションおかなくてもダイレクトにアクセスできるようにしました。
──プリント機能で強化した点はありますか?
「ピクチャパッケージ」を搭載したことです。これは印刷レイアウトを自由自在に設定できるというもの。任意の写真サイズのセルを自由に配置して、そのあともドラッグしてサイズ変更できます。自由度の高いレイアウト機能で、「自動レイアウト」を押すと紙に余白スペースを作ることなく写真を配置します。
──アドビ初の64ビット対応ですが、効果の違いは実際に体感できますか?
いまデモンストレーションで使っているのは、2GBのメモリーを搭載しているMacBook Proです。もちろん64ビットで起動できますが、このメモリー容量ですと効果のほどを認められるというには物足りないかもしれません。効果の感じ方は人それぞれ違うので一概には言えませんし、まだベータ版のためベンチマークを公表できませんが、メモリーを多く積んだMac Proで大量のRAWデータを読み込み、現像するといった作業を頻繁に行うなら、32ビットよりもメリットを感じていただけると思います。製品を発売するころには32ビットと64ビットのパフォーマンス比較を提示したいと考えています。
──「Aperture」も新バージョンが発表され、現像性能や使い勝手、パフォーマンスが向上しています。Lightroomが負けない点はどこにありますか?
開発のコンセプトや機能で差別化されていますが、負けない点は写真をピクセル単位で加工したいときPhotoshopとすぐに連携できること。これはアドビの強みです。
現在、RAW現像ソフトの市場は厳しい状態で、他社の製品を見ても価格帯や機能でしのぎを削っています。インターフェースや機能が似通っており、先日(株)ニコンから発売された「Capture NX 2」もブラシ機能などを追加して、充実したアップデートを果たしました。このような状況下で、我々アドビはユーザーが高品質な作品を仕上げられるようサポートできる製品を提供したいと思っています。
プロフォトグラファーがパソコンに向かう時間を少しでも減らし、本来の仕事に専念できるようにしたい。そのために、最新版ではユーザーのリクエストが多かった検索機能の強化や、デュアルモニターへの対応を図りました。これからもユーザーの声をどんどん聞いて製品に反映するよう働きかけていきたいと思います。