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フラットな本体にGPSアンテナを収納したPoket PC

P350

2006年07月10日 00時00分更新

文● 行正和義

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文● 行正和義

GPS機能を内蔵したPocket PC“Mio DigiWalker”シリーズに、新モデル「P350」(F type:4万9800円)が追加された。同社のGPS内蔵型Pocket PCにはこれまで「Mio 168RS」という機種があったが、P350はこれよりも安価なミッドレンジモデルという位置付けだ(Mio 168RSは併売)。

P350。2cmに満たない厚みながらGPSアンテナを内蔵する。

内蔵型アンテナだからスリムで携帯も容易


 一見して分かる違いは、Mio 168RSに採用されていたフリップタイプのGPSアンテナが消え、内蔵型になったことだ。また、ボディカラーもシルバーから、つや消しのホワイトに変更されている。

本体前面と背面。前面には電源ボタンと3つのアプリケーションボタンがある。中央のスティックカーソルは押し込むことで決定キーとなる5wayタイプだ。背面上部には外部アンテナ用端子のカバーがある。

 本体の厚さは19.8mm。アンテナが後ろに張り出さないため、背面はフラットで、よりスリムになった印象だ。本体そのものの厚さは、Mio 168RSの16.3mmより3.2mm厚いが、Mio 168RSの場合、アンテナ部を含めると奥行きは24.15mmあったのでかなりコンパクトに感じる。

 搭載するGPSユニットは、米Magellan社製のものから、ハンディGPSや超小型のBluetooth GPSアンテナなどで採用例が多い、米SiRF Technology社の“starIII”に変更された。
側面にはSDカードスロットとオーディオ出力(イヤホン端子)、赤外線通信ポートがあるのみだ。上面右側のメッキパーツはストラップ取り付け金具(写真上)。底面にはUSBコネクター(標準的なBミニプラグ)と主電源のスイッチ、リセットボタンがある(写真下)。

1GBの内蔵フラッシュに地図データをプレインストール


 Mio 168RSの下位モデルという位置づけの本機だが、内蔵するフラッシュメモリーが1GBに増え、地図アプリケーションと地図データを本体に格納できるという改善もなされている。

 Mio 168RSでは、地図データを付属のSDメモリーカード(1GB)に格納していたため、SDIOで周辺機器を追加する際には、カードの差し替えが必要だった。P350用に、メーカーが公式に検証している通信カードはいまのところないようだが、スロットは引き続きSDIO規格に対応している。Pocket PC用のドライバーが入手できれば、無線LANやPHSの通信カードも利用できそうだ。地図アプリと無線アクセスを同時に行なえる点はありがたい。

地図ソフト/データは、Mio Map(左)とPocket Mapple(右)の2種類が最初から利用できる。

 プリインストールされている地図ソフトは、音声ナビ対応の「Mio Map Ver.2.0」(ゼンリン)と、1/3000までの詳細地図「Pocket Mapple D Ver.7」(昭文社)の2種類。地図情報は、ともに最新のものに刷新されている。
Mio Map Ver.2.0のナビゲーション画面。開始位置と目的地をセットしてルート検索を行なえば音声ガイダンス付きでナビが始まる。画面はオレンジを基調とした鮮やかな配色となった。 Pocket Mapple Dの詳細地図なら、目的の店がどの建物にあるのかなど、詳しい情報も参照しやすい。

 Mio Mapに関しては、まず目立つのがアイコンの配色が従来の水色中心からオレンジ色中心となった点。視認性の高さを意識したとのことだが、確かにメニュー系のアイコンだけでなくルートナビ中の矢印表示も見やすく感じる。また、画面を90度回転させる機能が追加されたほか、従来はメニュー階層をたどらなければ呼び出せなかった“現在位置表示”の機能が、アイコンを使い、ワンタッチで呼び出せるようになった。

全国17万カ所の施設やお店などが検索できるPoint of Interest検索機能。カテゴリーから絞り込んでいく。

 Pocket Mapple D Ver.7も、目的地までの方向を示す指示線、直線距離、縦横表示などが追加されるなど、GUIが変更され、非常に見やすくなった。


2種類の地図を便利に使い分けよう


 「なぜ1台の端末に2つの地図ソフトがなぜ必要なのか?」と疑問に思う読者もいるかもしれないが、両者の機能は若干異なっており、相互に補完しあいながら使ってほしいという意図なのだろう。利用シーンとしては、Mio Mapを音声ガイドも可能なルートナビとして使用。

 目的地に近づいたら、より精密な地図情報が記載されているPocket Mappleで、細かな道筋や建物の輪郭、住所の確認などを行なうといったものを想定しているようだ。

「地図」メニューには「Mapple」のアイコンが追加されワンタッチでPocket Mappleを起動できる。 Pocket Mapple Dの画面。起動時に現在位置情報をMio Mapと共用する。画面上を長押しすると、Mio Mapを起動するメニューが表示される。

 P350では、このためにお互いの地図をメニューやアイコンから相互に呼び出す機能も追加されている。呼び出し時には、現在位置(表示位置)も反映されるため、地図のシームレスな切り替えも可能だ。例えば、Mio Mapでルートナビを行なったのちに、詳細情報をPocket Mappleで確認することがすばやく行なえる。


豊富なアクセサリーも魅力のひとつ


 豊富なアクセサリーが付属する点もP350の魅力だ。付属品には、パソコンと接続するためのUSBケーブルや、ACアダプタ(USB型コネクターを採用)、キャリングポーチに加えて、吸盤でダッシュボードに装着する車載用ブラケット、自転車やバイクのハンドルバーに装着するマウント、さらに車載時にシガーソケットから給電するためのチャージャーや外部GPSアンテナなども含まれている。

PDAとしてはかなり豪華な付属品。右下にあるのは首掛け用ロングストラップと合皮性ストラップの2本。左上にあるのは車載用ブラケットで、黒い部分(アーム)を吸盤で取り付ける。灰色の部分は本体をセットするトレーで、手前にある自転車用マウントに取り付けることも可能。

 付属の外付けGPSアンテナは、車載を考えている人にとっては非常にありがたい。本機をダッシュボードに配置し、フロントガラス越しでGPS衛星の信号を受信できなくはないが、衛星の配置によっては極端に感度が悪くなることがあり、本機を横置きで使うと、さらに受信しづらくなる。付属アンテナはカーナビ用のものと同様に下面が磁石になっているタイプなので、ルーフなどに簡単に装着できる

付属の自転車用マウントでハンドルバーに取り付けてみる。屋外での液晶の見えはあまりよくないが、輝度を最大にしておけば直射日光が当たらないかぎり十分地図は確認できる。

 バッテリー駆動時間は、GPSを使用しない状態で連続8時間、GPS使用時で約4時間となっている。Mio 168RSはそれぞれ12時間/5時間だったため、若干少なくなっている。給電アダプターのある車載用途では問題ないが、自転車で長距離ツーリングを楽しむ場合は、バッテリー残量に気を配りながら利用したい。

 P350はMio 168RSの下位モデルという位置づけだが、ソフトの改善などで、GPS端末としての機能はさらに充実した印象がある。本体スペックでは若干劣るものの、従来のMio 168RSと同等以上のアプリケーション/付属品構成で5万円を切る価格設定に関しても、お手ごろ感が高い1台と言えるだろう。

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