連載

大河原克行の「2020年代の次世代コンピューティング最前線」

古典的コンピュータの性能限界が見え始めている現在、次世代コンピューティングへの注目度が高まりを迎えつつある。スーパーコンピュータや量子コンピュータの現在について、事例や背景解説などとともに、最先端の世界を探る。

文● 大河原克行

2022年12月05日 08時00分更新

第11回量子は次のインターネット。政府が掲げる1000万人が量子技術を利用する環境とは

岸田文雄首相は、2021年10月の所信表明のなかで、成長戦略の第1の柱として「科学技術立国の実現」を掲げた。ここでは、デジタル、グリーン、人工知能、バイオ、宇宙とともに、量子に対しても大胆な投資を行っていくことを示した。

日立製作所では、2つの観点から量子コンピューティングに取り組んでいる。

NECは、1999年に、量子コンピュータの基礎である「個体素子量子ビット」を世界で初めて実証した企業である。これは量子コンピュータの実用性に道を開く画期的なものであり、同社では、この成果をもとに、「量子コンピューティングの元祖はNECである」と、自らを位置づける。

東芝は、2022年6月に打ち出した長期ビジョンにおいて、ハードウェアとソフトウェアを分離するSoftware Definedを推進するとともに、デジタルとデータの力を活用してカーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーの実現に貢献する企業を目指す方針を示した。