「Maker Faire Tokyo 2024」が、2024年9月21〜22日に東京ビッグサイトにて開催された。
「Maker Faire」とは、ものづくり版のコミケです
Maker FaireというのはDIYの展示発表会である。Makerムーブメントという、ものづくりをやる人々を称賛するムーブメントのお祭りでもある。
筆者はよく、ものづくり版のコミケです、と紹介している。
出展者は、個人で制作をしている趣味の人から大学のサークル、事業化を目指すスタートアップまで様々だ。
世界中で開催されており、世界中のMakerが参加している。
その中の「Tokyo」が今回開催されたというわけだ。
「Maker Faire Tokyo(以下MFT)」は毎年開かれており、筆者はなるべく毎年見にいくようにしている。
出展者として参加したこともあった。
Maker Faireがふたたび面白いイベントになった
実は、自分自身Makerとして長らく見ているなかで、MFTが面白くなくなってきてしまったように感じたときがあった。
MFTの規模が大きくなるにつれ、イベント自体の安全対策を高める必要が出てきた。一般的な安全対策はもちろんだが、Maker Faireはプロではない人が作った工作もたくさん集まる。バッテリーの扱いなど、そうとは知らず危険な工作をしている場合も想定されていたのだろう。
そうして安全対策を厳しくするうちに、心なしか出展者にプロ寄りのMakerが多くなってしまい、初心者の自由なMakeが見られなくなっていたような気がしていた。
しかし、今年2024年にそんな不安はまったくなく(出展者ではないのでどんな安全対策だったのかはわからないが)、様々なMakerの自由なMakeが繰り広げられていた。
展示者の世代交代もなされているように見えた。若い出展者が多かったのが印象的だ。
今回MFT 2024を見て回った中で、面白かったものを今記事では紹介したいと思う。作品数が多いので全部をちゃんと見て回れたわけではないのだが……。
着るモビリティ「MOBILEWEAR」
最初に目についたのは、交通デザイン研究所さんのウェアラブルなモビリティ「MOBILEWEAR」だった。
身体全体を守る形状のモビリティはあまり見たことがなかったので印象的だった。
スカートを履いた人には装着できないとのことで、対策を考えているとのこと。
そういえば筆者はウェアラブルロボットをスカートに装着するために、専用のキュロットワンピースを開発したことがあったのを思い出した。
最後に走ってるところ見れた! pic.twitter.com/aBrPbRXldl
— きゅんくん (@kyun_kun) September 22, 2024
腰から下のバージョンは走るところを見ることができた。
人力で動かすホバークラフト
モビリティコーナーを見ていくと、超小型ホバークラフト研究室さんの、人力で動かすホバークラフトがあった。
「これって浮くんですか?」と聞くと、エアーベッドのような部分は接地するが、空気が下に流れ込むので滑るように動くとのこと。ホバークラフトの業界的定義が気になった。
すべてを打楽器にする「TETOMO」
音楽コーナーへ移動した。ここで一番興味を惹かれたのは、R-MONO LabさんのTETOMOだ。
これ、かなり面白い。まずこれは全てを打楽器にする、ソレノイドでできた楽器だ。
これをいろんなキッチン用品や木材に載せることで、自動的に打楽器として演奏することができる。
ソレノイドというのは勢いよく押したり引いたりできるアクチュエーターで、物を叩く、つまり打楽器を演奏するのに適している。
ベースはモバイルバッテリーになっており、モバイルバッテリーに光センサーとマイコンとソレノイドをくっつけている。
iPadなどのディスプレーでリズムパターンを白と黒の色で表示する。
それをTETOMOの光センサーで読み込むと、TETOMOにリズムパターンが記録され、ソレノイドでそのパターンを打つ。
複数のTETOMOがあったとしても、ディスプレーのリズムパターンが同じなら同期が可能だ。
モバイルバッテリーに装着して、光センサーでリズムパターンを読み込んで、ソレノイドで全てを打楽器にする!!!おもろ!!! pic.twitter.com/39Boy7DBAX
— きゅんくん (@kyun_kun) September 22, 2024
モバイルバッテリーにつける、光センサーでリズムパターンを読み込むなど、とてもシンプルに技術を使っているのが最高にいいなと感じた。
音楽コーナーでは話題のうこさんの #ShockAndKeys を触ることができた。食券機型のMIDIキーボードである。
食券機で演奏できるの楽しー!
偶然、上手い人が演奏しているのを見たが本当に普通に上手かった。
やったー!食券機 #ShockAndKeys やっと触れたーー!!!音出てたのしー!!#MFTokyo2024pic.twitter.com/ia3PGygYnW
— きゅんくん (@kyun_kun) September 22, 2024
食券機!
曇りガラスへの落書きが体験できる「Wipe Fake」
今回のMFTで一番気に入った作品を紹介する。
IMG SRC STUDIO さんのWipe Fakeである。
曇っている窓ガラスに落書きをする体験ができるディスプレイなのだが、全く曇っても濡れてもいないのである。透明ディスプレイを曇らせるように表示しているのである。
センサーを使って指の位置を判定し、その位置の透明ディスプレーを透明にすることで、曇った窓ガラスに落書きをしているような体験をすることができる。水が垂れるような演出もとてもよい。
初めて透明ディスプレーの使い方で感動した。
透明液晶で、触ると曇ってる窓を触ったような感覚になるディスプレイを作ってた!
— きゅんくん (@kyun_kun) September 22, 2024
よすぎる!!濡れてるように見えるけど濡れたりしてないよ!@IMGSRCinc さんの作品!#MFTokyo2024pic.twitter.com/4YUHcA2H9t
足の体重移動によってVR空間を移動するデバイス
他に面白いと思ったのは、足の体重移動によって、VR上で移動をするデバイスだ。
VR上での移動は指のスティック動作を使うことが多いが、それだと酔いやすいということが指摘されている。しかし、脚の体重移動をセンシングしてVR上で移動すると、身体を使うため酔いづらくなるらしい。
残念ながら整理券配布が終わっており体験はできずだった。
Xで好評だった防犯ブザー「Yolni」
X(Twitter)に載せたら好評だった2つを紹介する。
ひとつめは、防犯ブザー「Yolni」。スマートな防犯ブザーでもちろんスマホと連携して位置情報を通報することができるのだが、筆者が使える!と思ったのはボタンを押すとスマホに電話がかかってくる機能。
不安な状況の時に、電話がかかってくることで逃げられることって結構ある。
スマホを触れない状況の時に、Yolniのボタンをポチッとできたら電話がかかってくる。
通報するほどではないことってたくさんあると思うので、カジュアルにこう使えるのはいいなと感じた。
防犯ブザーなんだけど、位置情報の通報もできるけど、ボタン押すと電話がかかってくるっていうのをできるのがカジュアルに使えて良さそうと思った!Yolni というそうです!#MFTokyo2024pic.twitter.com/rHIgb71lV4
— きゅんくん (@kyun_kun) September 22, 2024
Xで好評だった「スマホ投げ込み賽銭箱」
2つ目は、スマホを投げ込むとQRコード決済してくれる賽銭箱。システムが強引で面白かったのだ。
スマホを投げ込むと賽銭箱の中のQR決済端末の所へ導かれる。スマホが上を向いていても下を向いていても決済可能。
決済完了の音が鳴ったらそれを検知してサーボでスマホをユーザーの手元に返すという仕組みだ。
いやーシンプルでいい。普通はスマホと通信してどうこう……って考えちゃうよね。決済端末を貼り付けるのかっこいい。
スマホを投げるとQRコード決済で決済してくれる賽銭箱!!システムが思いのほか強引で笑った! #ニューサイセン#MFTokyo2024pic.twitter.com/9GhmzxrIYf
— きゅんくん (@kyun_kun) September 22, 2024
しかし、スマホの種類の多さやスマホケースの種類の多さがボトルネックになり、実用化は難しいんだとか。ハッカソンって感じで素敵!
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