期間限定のお月様
まもなく10月。秋といえば食欲だのスポーツだのありますが、古くからのイベントとしてお月見、いわゆる“中秋の名月〟がありますね。2020年の今年は10月1日です。中秋の名月は旧暦の8月15日の夕方に出る月のことをいい、実のところ“必ず満月とは限らない〟のです。
ちなみに今年も満月の一歩手前で、月齢13・7となっています。さて、この連載でも何度か取り上げている月とその探査ですが、実は月が2つあったってことをご存じでしょうか? なんともゲームくさい設定ですが、事実、あったのです。
過去形なので、昔のことになるのですが、昔といっても数億年単位ではありません。今年の話です。「そんな月が2つあったら大ニュースにもなっているはずなのに、ミリしらだよ!」と言いたくなりますよね。はい、この2つめの月は“期間限定〟で、大きさも直径約2~3.5メートルと、かなり小さなものです。そのあたりに落ちていたら巨石の部類ですが。
この2つめの月の正体は“小惑星〟です。宇宙空間におけるそのあたりを飛んでいたら、地球の重力に捉えられちゃったんですね。この小惑星は今年2月に、地球近傍天体の観測を行っているカタリナ・スカイサーベイによって発見されたのですが、その時点で約3年ほど、地球の周りを回っていたそうです。
その界隈のメディアでは、この小惑星は“ミニ・ムーン〟と呼ばれていたようですね。ミニもミニすぎますが。この小惑星はすでに地球から離れていっちゃいました。月の重力に邪魔されて、小惑星自体の勢いがついちゃって、軌道から外れてしまうんですね。これが期間限定のゆえんです。
また、少し前の2006年から2007年にかけても、似たような小惑星が第2の月になっていました。こちらは先ほどの小惑星よりは少し大きく、直径約3~6メートルほどとなっています。
地球に似た軌道で太陽の周りをまわっていたところ、地球の接近時にその重力に捉えられ、一時的な第2の月になりました。今はこちらも地球から離れていってしまっていますが、2028年にまた地球に接近するとみられていて、その際もまた一時的に月となる可能性が示唆されています。
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