デーモン・コア君から放たれる青い光
“デーモン・コア”。そのプルトニウムの塊は、2名の研究者が命を亡くしてしまう恐怖の実験に用いられました。そして、その恐怖の実験の際に放たれたという“青い光”。デーモン・コア実験をモチーフにしたイラストなどを見ていると、この“青い光が放たれた様子”のカットも目にします。デーモン・コアのイラストに続く“オチ”としても使われますが、この青い光って何なのでしょう? 放射線なのでしょうか? でも、放射線ってそもそも見えません。が、そこではなんらかの現象が起こっているはずです。実際、動画や写真で見ると、水に沈む機械(原子炉)の中で青い光がゆらめいています。
この青い光の正体と言われているものが『チェレンコフ放射(とその光)』です。ですが、実際臨界事故で確認された青い光がこのチェレンコフ放射によるものかどうかは確証がとれておらず、議論がされています。それについては後ほどお話しするとして、この青い光、主に原子力発電所において、燃料や使用済み燃料が入ったプール(水)の中で見ることができます。美しくもちょっと怖い、青白い光……。核反応とかで生じちゃうこのチェレンコフ放射による光、よく映像とかでも見るんだけど、これって肉眼で見ても大丈夫かな? という心配がありますが、チェレンコフ光自体はあくまで“光”なので大丈夫です。問題は、そこに人間の生命を脅かす量の放射線があるかないかになります。原子炉からの放射線は、水によって遮蔽されているため、直接その映像や写真を撮ることができるそうです。水が抜けたら即死ですが。
このチェレンコフ放射による光、どのようなときに見ることができるかというと、“荷電粒子が、光より速く移動したとき”です。「あれれれ?光より速く動けるモノって、今のところなかったんじゃ?」と思いますよね? 実は、“移動する場所”がカギなのです。
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