実はウイルスは生きモノではない!?
気が付けばまもなく12月。街中でクリスマスケーキやおせち料理の予約案内、年賀状やスケジュール帳、カレンダーの特設売り場などを見ると、今年もあとわずか!という焦る気持ちと、イベントが何かと多い時期がやってくる! という楽しい気持ちが同時に押し寄せる季節の到来です。
ですが、そんな気持ちを一瞬にしてダメにするものが街中に現れる季節でもあります。そう、冬は“ウイルスが流行る季節”でもあるのです。冬に流行るウイルスの代表格と言えば、『インフルエンザ』と『ノロ』ですね。前者は高熱にうなされ、後者は胃と腸を痛めつけられる、いずれも絶対に避けたいウイルスです。せっかくの予定を容赦なく潰してくれるウイルス。私はどちらもかかったことがありますが、個人的にはノロの方がめちゃくちゃしんどかったです。その理由は……、次からのウイルスのお話と共に述べましょう。
そもそもウイルスとはなんなのでしょう? 細菌とはどう違うのでしょう?
まず、細菌は“細胞”です。細胞膜を持ち、核膜を持たない原核生物です。細胞分裂でどんどん自分のコピーを増やすことができます。対してウイルスは、“細胞”ではありません。『カプシド』と呼ばれるタンパク質の殻と、その中に遺伝子となる核酸を持っています。細胞を持たないことから、非生物とされることもあります。ウイルスは生物の細胞を利用して自分自身をコピーし、増やします。ここが細菌との大きな違いですね! 自己増殖はせず、細胞に寄生することによって増えるんですね! なんて他力本願なヤツなんでしょう!
つまり、先ほどのウイルスらが体内に入ると、その体内の細胞を使いながら増殖するんですね。腹が立つのでその仕組みを深堀してみましょう。
何らかの要因でウイルスが体内に入ると、ウイルスはその体内の細胞にくっつき、その中に侵入します。そしてその中で殻から自身の核酸(遺伝子)を放出します。この時ウイルスは、自身の姿をまるまるコピーするのではなく、核酸のコピーと、殻などのタンパク質の合成を別の場所で行うのです。この方がウイルスの増殖に効率が良いからです。こんな効率いりませんよね! どのくらい効率がいいかというと、1個のウイルスから10万個以上のウイルスを作れるくらいだそうです!
はい、奴らにくっつかれた細胞はここで負けです。増えたウイルスは細胞を破壊し、その外へと出ていくのです。そしてまた別の細胞に……。
しかもこの核酸とタンパク質の生成を別々にすることによって、ウイルスが一旦ウイルスとしてわからなくなってしまうため、再生成するまでは検査などでの検出ができないそうです。この時期を“暗黒期”と呼びます。潜伏期(感染からウイルスが細胞から出てくる期間)があるのはこのためなんですね。活動のエネルギーすらも細胞から利用するウイルス、憎悪しか湧きません。
もうかかってしまったのなら、薬でウイルスを滅多打ちにしたいところですよね。が、残念ながらウイルスに効く薬は少ないのです。薬で治療可能なウイルス性の病気には、インフルエンザやB型肝炎などがありますが、多くは対処療法(発熱などの“症状”を和らげる治療)になり、回復までにはその人の免疫力によることが多いのです。ウイルスが無くなるまで耐え続けねばならないことが多いんですね……。憎悪の先には失意が待っていました。
インフルエンザもノロも、そんなウイルスが引き起こす病気というのがわかりましたね。これはもう“予防”が一番のような気がしてきました。
さてさて、まずはインフルエンザです。インフルエンザはA型やB型などに分かれているのはご存知かと思います。
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