モノ自体に重さはない!?重さを与える粒子とは
秋も深まる今日この頃、色々な食べ物が美味しくなるこの季節。そう、“食欲の秋”です。実はこの食欲の秋、というフレーズには科学的に根拠があるそうで、“夏より必要な基礎代謝量(エネルギー量)が上がるからそのぶん食べる”説や、“日照時間が短くなりセロトニンが減るから、そのぶんを食べ物で補う”説がそれにあたります。セロトニンは精神の安定に関わっている神経伝達物質のひとつで、足りないとストレス障害などが出てしまいます。それゆえ、精神の安定をはかるために食べる! というワケです。そのほかにも、夏は暑くて食欲が減るから、冬に備えてエネルギーを備蓄する、などの説もありますが、ここまで書いておいて、今回の本題は食欲の秋ではありません。その後ろに控える“質量”です。
食欲に任せて食べていると、あっという間に増える自身の“質量”、つまり体重。この場合、増えたぶんはだいたい脂肪なのでしょうが、その脂肪はなぜ重いのでしょうか? 言い換えると、なぜ質量があるのでしょうか?
この、物質に質量を与えているものが『ヒッグス粒子』です。たびたびこの連載で素粒子の話が出てくると現れる、ヒッグス粒子に今回はフォーカスしたいと思います。あなたの脂肪も、もとは“ヒッグス粒子”とぶつかったことで、質量が発生したものなのです。
ヒッグス粒子とは、素粒子の仲間たちのひとつで、他の素粒子に質量を与える役目をします。2012年7月に欧州原子核研究機構(CERN)で発見されました。 というか、なんでそいつが質量を与えるってわかったんだ? って感じですよね。実のところ、このヒッグス粒子は、発見するまでにその存在が予言されていたのです。 そもそも、一般人は普通に暮らしていて、なぜモノには質量があるのか考えもしないですよね? ですが、それを研究してノーベル物理学賞をゲットしちゃう人もいるのです。この“モノに質量がある問題”を解決するために提唱された理論が『ヒッグス機構』です。ヒッグス機構の中身もまた、小難しい(というか、説明しはじめると2ページでは収まらない)のでさておきますが、このヒッグス機構において、質量の始まりは次のように説明されています。
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