法則名があるくらい大人は時間が早く進む
子供の頃の楽しみといえば、そう“夏休み”。宿題というネガティブ要素はあるものの、学校に行かなくてよく、遊ぶ時間が増えるこの長期の休みは、子供にとってはめっちゃ嬉しいイベントでした。あと個人的に親戚のおばちゃんちに行くという楽しみもありました。
けれど、7月になってから休みに入るまでがまた長かった記憶があります。もういくつ寝ると夏休み状態。早くこいこい夏休み……と思っていたのはもう30年以上も昔の話。四十路近くにもなると、「え? もう金曜?」「あ、あれ? もう7月?」「は? もう月末?」となり、気が付くと「ちょっと待ってもう12月とか嘘でしょ!?」ってなります。大人になると長い夏休みなんてそもそも無理な話、というのはさておき、月日が経つのが恐ろしく早いです。
このように、時間が過ぎていく感覚を人間は持っています。さらに、人間を含め生物は、体の中に時間を司る遺伝子、いわゆる『体内時計(生物時計)』を持っています。時間とは“概念”ではありますが、1秒、1年など、きちんと数値的に定義されているものでもあります。このヒトと時間の関係について、感覚的な観点と生物的な観点から見てみましょう。
私たちは時間の経過を“物体の移動”で認識します。いちばんわかりやすいのは太陽ですね。東から昇って西に沈む。朝がきて昼がきて夜がくる、という時間の経過です。冒頭のように、歳をとるにつれて月日の流れを早く感じたり、楽しい時間はあっという間に過ぎてしまったりします。別に1秒の定義は変わらないのに不思議です。
前者の“歳をとるにつれて月日の流れが早くなる”という現象は、『ジャネーの法則』という立派な名前がついています。科学というより心理学ですが。この法則は“年齢を重ねていくと、その年齢に占める1年の割合が減っていく”というものです。確かに、わが子(3歳)における1年の割合は約33%、かたや四十路を迎えるせれろんやまだにおける1年の割合はたったの2.5%です。その差は歴然です。そしてこの体感時間を積み重ねていくと、人生100年として、それまでに積み重なった体感時間を1(100%)としたときに、20歳の時点でなんと65%が過ぎちゃってるんですね!(積分で出せますので、数式知ってる方は計算してみてください)と、いうことは、私は既に8割終わってます。嫌だ、嫌だァー!!
そして後者の“楽しい時間は早く過ぎる”という現象、こちらは脳科学です。楽しいとその物事に集中しますよね? 余計なことを考えていない、つまり時間の経過を意識しないと、時間の経過が早く感じられるそうです。また、楽しいと心拍数が上がり、動作が機敏になるのも早く感じられる原因みたいです。
代謝によっても時間の経過の感覚に差がある、というから面白いです。みなさん、朝と夜、どちらの時間の経過が早く感じられますでしょうか? 個人差はあるとはいえ、朝の方が早く感じられる人が多いのではないでしょうか? 起きてボーッとしてたら「うお! もうこんな時間!」のような。朝はまだ体が目覚めていない状態=代謝が活発ではない状態は、時間が早く感じられると考えられています。
このほかにも、新しい経験が減っていくと、時間の経過が早く感じられるようです。確かに子供の頃の方が、心ときめく経験が多かったですしね。集中して同じこと繰り返してたらそりゃ大人はすぐに時間経つわこりゃ。
そんなこんなで、大人になると体感時間が早くなるのは仕方ないことで。だったら、少しでも残された時間を有意義に過ごしたいですよね! それなら、生物学的な時計、“体内時計”を大切にするのが良いかもしれません。
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