永久凍土の中にはリアルマンモス!!
原始人の暮らしを描くときに、必ずと言っていいほど出てくるのが“巨大な骨付き肉”ですね。そう、マンモス肉。原始人の狩りのシーンでおなじみですが、ほんとに食べてたんでしょうか? そしてそのお味は? マンモスの骨を住居にした形跡は残っているようですが、食した証拠やその味についての感想は残っていないようなのです。
このマンモス肉を食べる演出って、実はマンガの影響が大きいんですよね(笑)。 しかし! もしかしたら実際に食せる日が来るかもしれません。なんと、このマンモスを現代に復活させようというプロジェクトがあるのです。その鍵となるのが“生命科学”。現代科学とマンモスの遺伝子を使ってマンモスを復活させようというのです!
“マンモス”、言わずと知れた、赤茶の毛むくじゃらで、大きな牙が特徴のゾウ科の動物です。マンモスと言えば氷河期をイメージする人も多いですね! 古くはアフリカに生息し、どんどん北上して、ヨーロッパ大陸や北アメリカ大陸、アジアなど広い範囲で生きていました。この日本でも化石が見つかっています。ちなみに、マンモスにもいろいろ種類があり、約70〜120万年前に日本にいたマンモスは『ムカシマンモス』という名前がついています。なかなかかわいい名前ですね! 現在一般的に知られているマンモスは、『ケナガマンモス』です。冒頭のマンモスの特徴そのまんまです。
そんなマンモス、(諸説ありますが)今から1万年前くらい前に絶滅してしまいます。理由にはいくつかありますが、氷河期末期の気候変動(雪が多くなり主食の草が育たなくなってエサがなくなった)、人間の過剰な狩猟(マンモスは一度に1頭しか子供を産まないため繁殖率は低く、増えるのが難しかった)、伝染病や地球付近での超新星爆発(例のガンマ線バースト)などがあげられています。
一旦はこの地球からいなくなってしまったマンモス。ですが、彼らはある意味“生きて”いたのです。1977年、シベリアの永久凍土から、なんと骨だけでなく肉や皮膚、毛も残ったマンモスが発掘されたのです。永久凍土とは、その名の通り季節関係なく常に凍結している状態の土壌で、北半球の大陸の2割に広がっています。場合によっては厚さ数百メートルにも及びます。
この時発見されたマンモスとは異なりますが、私もこの永久凍土から見つかったマンモスをこの目で実際に見たことがあります。2007年に同じシベリアの永久凍土から見つかった『リューバ』という赤ちゃんマンモスですが、見た目は子ゾウそのもので、マンモスの形がほぼ完全に残っているのです! このリューバは、川を渡っているときに溺れてしまい亡くなってしまったと考えられていますが、そのとき体内に入ってしまった泥が、このように完全に近い状態で保存される条件になったのです。そして、外見だけではなく、内臓器官も完全に残っており、胃の中の成分なども分析できたのです。冷凍保存ってすごいですね……。
こうやって、永久凍土から見つかったマンモスから採取できた、復活のカギとなるもの、それが“遺伝子”です。生命としては既に息絶えていたマンモスですが、その“遺伝子”は生きていたのです。この遺伝子と、現代の遺伝子工学やコンピューター技術を使って、マンモスを復活させよう、というのが『マンモス復活プロジェクト』なのです。
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