科学・生物で気になることをお届け! 「数式なんて知らんし!!」 第13回
2006年に登場した細胞が間もなく角膜治療に使われるかも!
実用化が期待される『iPS細胞』 なぜ注目を再び集めている?
2019年04月03日 12時00分更新
思い通りの臓器が作れちゃうかも!?
最近また、ちらほらとニュースで見ることが多くなってきた『iPS細胞』。2006年に誕生してからまる13年。既に臨床研究があらゆる場面で開始され、今年3月頭には、目の角膜治療にこのiPS細胞を使うことが条件付きで了承されました。早くて6~7月の実施を目指しているそうです! また、脊髄損傷治療の臨床研究の計画もそれより少し前に了承されています。いろいろな体の部位やパターンで、どんどん利用がすすんでいますね!
そう、iPS細胞は、体のいろいろな細胞や組織にその姿を変える『万能細胞』として、今から7年ほど前に有名になった細胞です! このiPS細胞の〝はたらき〟を発見した山中伸弥さんが2012年にノーベル賞を受賞して、そのお名前とともに、この細胞の知名度もぶわわわわっと広がりました。iPS細胞自体は、それより前の2006年夏に誕生しています。
とにかくスゴイこのiPS細胞、いったいなぜすごいのか、どうやって誕生したのか、これからどうなるかに迫ってみたいと思います。読んだ後にはきっと、自分自身の細胞が愛おしくなるはずです。『iPS』は、略さずいうと〝induced Pluripotent Stemcells〟となります。なんでも、頭の〝i〟が小文字なのは、某リンゴのメーカーの製品のようにこの細胞も流行ってほしい、という願いが込められているそうです。相変わらず科学者って洒落っ気満載ですね! 英単語で羅列してもよくわからないので、日本語に訳してみましょう。『人工多能性幹細胞』です。うむ、ちょっとわかるようになりましたが、多能性以降がよくわからないですね!
〝人工〟というとおり、iPS細胞は〝人の手〟で作られた細胞です。とはいっても、1から細胞を作ったわけではありません。動物の体の〝再生可能な〟細胞を使って作られたものです。さて、その再生可能な細胞組織とは何でしょう?……答えは〝皮膚〟です。「えぇぇぇぇ意外と身近!?」って思いません? 内臓じゃないんですよ。じつは皮膚なんです。皮膚って古くなったら剥がれ落ちますよね? でも、なくなりません。ケガしても治ります。再生能力激高です。iPS細胞はこの〝皮膚細胞〟から作られたものなのです。
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