倶楽部のAV特集 第34回
歴代モデルよりもどこがいい? 聞き比べて検証!
ソニーのヘッドホン最新「MDR-1」は歴代モデルから正当進化を遂げたのか (1/4)
2018年04月06日 17時00分更新
ソニーが力を注いでいる製品の1つにヘッドフォンがある。
その中心的なモデルであり、支柱として存在するのが「MDR-1」シリーズだが、その最新モデルである「MDR-1AM2」が発売された。
今回は、その最新モデルを詳しく紹介していくとともに、MDR-1シリーズの歴史や技術の進化、そして音の変化についても解説していく。
目次
- 画期的な振動板を採用した初代「MDR-1R」
- 振動板に改良を加え、低音域の再現性を強化した「MDR-1A」
- 歴代MDR-1と最新のMDR-1AM2の音は低音のダイナミック感が違う!
- エネルギー感が控えめな初代MDR-1R
- 低音のパワフル感が増している2代目MDR-1A
- 従来モデルで“情感”が足りないと感じるなら買い替えをおススメ
- ヘッドフォンメーカーを代表する偉大なるスタンダードモデルはコレだ!
モニターヘッドフォンから生まれた「MDR-1」シリーズ
2012年に登場したMDR-1シリーズは、CD時代にスタジオなどでレコーディング用モニターとして普及した「MDR-CD900」シリーズが原点とも言える。
業務用モニターヘッドフォンというわけではないが、ハイレゾ時代に合わせて新たに開発した、ソニーの新たな顔となるリファレンスヘッドフォンというわけだ。
MDR-1AM2でも踏襲されているモニター調のフォルムをモダンにしたデザインなどにそこがうかがえる。
詳細は後述するが、LCP(液晶ポリマー)フィルム振動板を採用した40mmドライバーが根幹の技術で、世代を重ねるごとにコーティングが施されるなど進化を続けている。
このMDR-1シリーズの後にフラッグシップモデルの「MDR-Z1R」(実売価格 18万円前後)や上位モデルの「MDR-Z7」(同5万2000円前後)などが登場しているが、それでも中心となるのはMDR-1シリーズだ。
コンパクトになって音質技術が磨かれた「MDR-1AM2」
最新モデルであるMDR-1AM2(実売価格 3万2000円前後)を詳しく紹介していこう。
見た目の大きな変化は小型・軽量化。基本的なデザインは踏襲しているが、ハウジングがコンパクトになり、サイズ的にもひとまわり小さくなっている。携帯性を高め、屋外などで使いやすいものになったのだ。
コンパクトになったが、使用ユニットは従来と同じ40mm口径のドライバーを採用。LCPにアルミニウム薄膜をコーティングした「アルミニウムコートLCP振動板」を使用した新開発ドライバーだ。
さらに、MDR-1AM2では、中心のドーム部の形状を最適化することで中高音域の再現性を高めている。
ドライバーユニットを保護するグリルは、MDR-Z1Rで採用している「フィボナッチパターングリル」を応用。フィボナッチ数列を参考にした曲線パターンを採用することで、開口部を均等化し、空気の伝播を阻害せずなめらかな超高域特性を実現している。
このほか、ハウジングに制振性の高い樹脂材料を用いて不要な振動を抑え、ハウジングに備えた通気孔で低域の通気抵抗をコントロールする「ビートレスポンスコントロール」など、これまでの技術も継承している。従来モデルの熟成に加えて、ハイエンドモデルの技術も採り入れたモデルと言える。
そしてもうひとつの特徴が、4.4mm口径のバランス標準プラグのケーブルがセットになっていること。ウォークマンの上位モデルなどと組み合わせ、バランス接続が手軽にできるようになっている。
ケーブルは着脱式で、一般的な3.5mmのステレオミニプラグのケーブルも同梱。こちらはスマホの操作ができるリモコン付きケーブルとなる。
製品を見ていくと、全体的に小型になっていること。楕円形のイヤーパッド部に組み合わされた円形のハウジング部の周囲にあった赤いフチドリがなくなり、ブラックまたはシルバーのモノトーン調の配色になったことなど、基本的にデザインが共通だったこれまでのモデルと比べると、変化が大きい。
小型・軽量化は多くの人にとって歓迎できるが、これまでのモデルと比べると一回り小さくなったこともあって、悪く言うと身近になった下位モデルのようにも感じてしまう。もちろん、音質的な変化も気になる。
以降のページ(アスキー倶楽部会員向け)では、歴代モデルの紹介および最新モデルMDR-1AM2との聞き比べなどを実施。これまでのモデルの正統進化と言えるのか。じっくり検証していきたい。
さらに、オーディオテクニカなど競合他社の主力というべき代表的なヘッドフォンも紹介していく。
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