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三菱電機とトヨタ自動車も登壇した「Fortinet Accelerate Japan 2026」基調講演

攻撃するAIと防御するAI 日本企業のセキュリティ対策にいま何が必要か?

文●大谷イビサ 編集●ASCII

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経営者にはIT部門の背中を押してあげてほしい

 トヨタ自動車における実践として、寺澤氏はゼロトラストの概念を「止める(初期侵入防御)」「広げない(横展開の防止)」「戻す(火事からの確実な復旧)」という具体的な行動指針に定義し直した。特に「広げない」ための対策である認証強化や権限統一、アクセス管理について、「インフラやネットワークのエンジニアは、IDやアプリケーションの世界、その向こうにいる事業の人たちとのやり取りを非常に苦手としている。しかし、ここに踏み込まないと対策は成立しない」と語った。

 実際のITモダナイゼーションの道のりは、困難を極めたという。「当時、約1000以上のアプリケーションがあり、個別に作られた認証システムが8つも乱立していた。これでは厳密なアクセス管理など絶対にできない。大反対を受けながらも、これらを『ぶっ壊して』統合し、インフラをクラウドへシフトしてきた」と寺澤氏は振り返る。

 「周りからは『何言ってるの?』と言われながらも進めてきた。ここまで来るのに4年ちょっとかかっている。単発のソリューションを年間スケジュールでポンと入れるだけでは、アーキテクチャの変更など絶対にできない」と語る寺澤氏は、綿密な計画と強い意志の必要性を訴えた。さらに、インシデントからの復旧(BCP)についても、「いざという時のBCP対策を、IT部門だけで絶対にやらないでほしい。経営層や各事業部門を巻き込んで進めないと、事業を元の状態に戻して安全宣言を出すことは不可能だ」と強調した。

 最後に寺澤氏は、会場にいるであろう経営層やマネジメント層に向けて熱いメッセージを送った。「IT部門が勇気を持って、インフラのモダナイゼーションやセキュリティ対策を推進できるよう、ぜひ彼らの背中を押してあげてほしい。『お前は何言ってるかわからない』などと言わずに、少しでも耳を傾けていただければ、将来のサイバーレジリエンスは確実に上がっていく」と力強く語りかけ、大きな拍手の中で講演を終えた。

サプライチェーンが危ない そのセキュリティ強化に向けて

 各者の登壇終了後、フォーティネットジャパンの与沢和紀氏が再び登壇。カンファレンスのクロージングと総括の挨拶を行った。

 与沢氏は、後半に登壇した三菱電機とトヨタ自動車の取り組みに敬意を表しつつ、日本社会全体が抱える構造的なサプライチェーンの課題について言及した。「日本を代表するトヨタ自動車様や三菱電機様の背後には、数万社に及ぶ巨大な下請け企業、サプライチェーンが存在している。トヨタ様だけで1万社を超え、その下を含めると6万社、三菱電機様も4万社規模になるのではないか」とその裾野の広さを指摘した。

 その上で、マンキー氏のインテリジェンスデータを引用し、「グローバルではサプライチェーンを通じた侵入が約20%と言われているが、日本ではまだ4.9%程度と推測されている。しかし、下請け企業から侵入され、そこから上位の企業へと被害が波及していくケースは確実に増えている」と強い危機感を示した。「高度な攻撃者が明確に狙って侵入する場合だけでなく、ラテラルムーブメント(横展開)を繰り返しているうちに、たまたま親会社へ繋がってしまったというケースもあり得る」と、サプライチェーンの末端からの無作為な攻撃拡大の恐ろしさを語った。

 大手企業が数年がかりで強固なセキュリティ網とレジリエンスを構築している一方で、リソースの限られた中堅・中小企業のリスク対策は依然として遅れている。これに対して与沢氏は、「多くを占める中堅・中小企業において、セキュリティ対策をしている企業の約半数は、弊社のFortiGateを導入いただいている。この基盤をうまく利用して、サプライチェーン全体をゼロトラストやSASEへと引き上げていきたい。日本全体のサプライチェーンの底上げと強化に向けて、フォーティネットとしてもしっかりと知恵を出していく」と、日本企業の防衛力向上に対する強い決意を表明した。

基調講演全体を締めくくった与沢氏

 AIという未知の領域に突入し、マシンスピードでの攻防が繰り広げられるサイバー空間。脅威はますます高度化し、自社だけでなくサプライチェーン全体を巻き込んだレジリエンスの強化が急務となっている。本カンファレンスは、最新のテクノロジーによる「先制防衛」の重要性と、経営層をも巻き込んだ「組織全体の変革」の必要性を、聴衆に深く印象づけた。

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