リクルートのマネージャーから学ぶ、現場が動き出す「進め方のフレームワーク」
DXツールの定着あきらめてませんか? 一度は失敗したBacklog活用、現場定着の鍵は「推し活」だった
“自分の姿を見せる”ところ始め、現場が動き出すまで
目標である情報の透明化に向け、どのような手を打ったのか。これまで通り情報共有を強要すれば、また抵抗感を植え付けるだけだ。そこで、「自分の姿を見せる」ところから始めた。
具体的には、メンバーの前で自らがBacklogを使う機会を積極的に増やしていった。例えば、1on1では一緒にBacklogを使いながら対話をして、会議ではBacklogの画面を投影して議論の土台にする。特に会議では、タスクの進捗をひとつの画面で把握できる「ボード」機能と、期限を意識しやすい「ガントチャート」機能を使い分け、チーム内のすり合わせを重ねた。
こうして、Backlog活用を実演して、一緒に入力する時間を作ることで、利用を強要するのではなく「自然に使える状態」を築いていった。さらに、「同じモノを見て話す場」を習慣化することで、チームに「共通認識」が形成されていく。
その結果、 「使い方がわからないです」 という声はなくなり、政岡さんに倣ってタスク追加やコメント更新をするメンバーも増える。少しずつ、情報共有をする文化も醸成されてきた。
もうひとつのチームの効率化に向けては、まずビジョンを定義した。メンバーに「メインのタスクを1秒でも多く注力してもらう」世界を目指し、その実現のための環境整備を進めていった。
ここでも政岡さんは、「課題のテンプレート」の整備など、自分のプロジェクト管理が少しでも楽になる仕組み作りから始めた。こうして生まれた余力を、メンバーの支援に充てていく。ここで心掛けたことは、かつての失敗を教訓に、必要最低限の改善からスタートすること。そして、再利用されそうな情報は必ずドキュメント機能に蓄積していくことだ。
こうして、いきなり完璧を目指さずに、一歩ずつチームの効率化を進めていった。徐々に、本業に集中できるメンバーが現れはじめ、政岡さん同様にチームに意識を向け始めたという。
さらに、Backlogに情報が集まることで、振り返りや確認作業の負荷が減ったことも大きな変化だ。政岡さんは、「チームの意識や観点が『個人』から 『チーム』に変わり、チーム全体で成果を出すために、どう効率的に動くべきかという会話が生まれ始めました」と語る。
ツール定着は“推し活” 高望みをせずにコツコツと
ここまでの取り組みを通じて、政岡さんは、ツールを定着させるのは「推し活」と同じだったと振り返る。
「Backlogを分からないメンバーに対し、それを知っている自分がいます。そして、Backlogを使うことで仕事の視点が変わることも、自分は知っています。メンバーが仲間になってくれると嬉しいから、いかにその利点を伝えられるか試行錯誤する……まさに『推し活』をしている自分に思い当たりました」(政岡さん)
今回のBacklogの推し活によって、ポジティブな仲間が増え、チームとしての雰囲気も好転し、組織文化も自然に変わり始めた。なによりメンバーの間に信頼関係が生まれている。
何より成功要因は、高望みをしない勇気だったという。「ツールを導入すると、どうしても大きな成果を求めがちです。実際は、ゴールに向かって小さな成功を積み重ねることが大事」だと語られた。
最後に、ヌーラボの河野さんは、政岡さんの定着策を基に、現場が動き出す「進め方のフレームワーク」を紹介する。
・ステップ1:小さなステップに分解して、負担を「やれそう」に変える
・ステップ2:体験を通じて価値を実感させ、共感を「自分ゴト」化させる
・ステップ3:同じものを見て対話して、個人の認識をチームの「共通認識」へ昇華する
河野さんは、「人を動かすのはツールではなく体験の設計。この3ステップが、ツール定着の鍵になります」と締めくくった。
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります





