納期の確認や調整に頭を悩ませていた現場が作った「超見える化」の軌跡
購買部門の担当以外は読まないで 味の素ファインテクノのkintoneとkrew活用すごい
2026年03月27日 09時00分更新
krewSheetがないkintoneだったら、結局Excelに戻っていた
さすがに……ということで、いったんは基幹システムからCSVファイルを出力して、Excelで管理することになった。その後、このExcel管理をさらにkintoneに移行したわけだが、問題はユーザーインターフェイスがExcelじゃなかったことだ。「で、情シスに教えてもらったのが、メシウスのkrewSheetだったんです。試しに入れてみたらすごくよかったので、絶対入れさせてくださいとお願いしました」と大野氏は振り返る。
krewSheetを利用することで、kintoneに登録されていたデータをExcelのようなユーザーインターフェイスで直接操作できる。「まずはExcelライクな操作感をkintone上で実現するために入れました。実際、あれ?これってkintoneだよなと何度も思いました」と大野氏。こうして既存のExcelをどんどんkintoneに取り込んでいった。これにより、納期回答が来ていない発注は、空欄になっているので一目でわかるようになった。
こうしたExcelからの移行はある意味kintone導入の王道パターンだ。もちろん、Excelだけで実現できることも多いが、kintoneの場合、単にクラウド化されるだけではなく、ワークフローやコミュニケーションなどの機能を利用できる。「納期が3日前なのに、サプライヤーからの回答がないと当然われわれはヤバいわけです。でも、紙やExcelのときは発注簿を毎日あさるしかなかった。でも、kintone化した段階で、納期が迫っているものは自動通知が来ます。これだけでもすごく便利なんです」と大野氏は語る。
また、kintoneでは詳細レコードにおいてコメントが付けられる。「『この納入品、ラベルに傷がついてしまっているのですが、OKですか?』『はい、大丈夫です』みたいなやりとりは、kintoneで完結します。メールやチャットを使わなくていいし、対象となる注文も特定されているので、やりとりもシンプルで十分」と大野氏は語る。しかも、ノーコードでアプリを作れるkintoneの場合、「未回答」と「回答済み」だけではなく、「納期調整中」や「希望納期打診中」など納期のステータスも細かく設定できる。
krewSheetによって、kintoneのメリットを最大限に引き出しつつ、Excelのような使い勝手を実現できる。大野氏は、「通知やリマインド、レコードへのコメントができるのは、Excelを超えたkintoneならではの機能。一方で、Excelと同じ操作性を実現するkrewSheetが加わることで、われわれのkintoneは無敵になりました。正直、krewSheetがないkintoneだったら、やっぱりExcelの方が便利だったよねということで、元に戻っていたと思います」とまとめる。
当たり前だけどとても重要な「納期通りに原材料が納品されること」
現在は、1つの発注レコードにサプライヤー、型番、量、納期、連絡先、担当者などが登録されており、納期回答が空白の場合は、返答が来ていないことがすぐわかる。「たとえば、昨年10月に注文した資材はまだ納期が来ていない。でも、そもそもこの資材は納品までに7.5ヶ月かかるということがわかれば、回答が来ていない理由もわかります。回答が欲しければ、kintoneで連絡先と担当者を調べて、こちらから連絡すればいいわけです」(大野氏)。
とはいえ、当初からこの形だったわけではなく、krewSheetのXrossモードを利用することで、ピボットテーブル感覚で各レコードを関連付けることで実現できた。「『これってマスタのレコードを関連付ければ、最新のデータがきちんと参照できるのでは?』と気がついたら、あとは早かったです」(大野氏)とのことで、納期回答を迅速に行なうために必要なレコードがうまくまとめられた。「基幹システムやExcelのデータがすべて集計された状態でまとまっているのが、このkintoneアプリの価値だと思います」と南崎氏は改めて絶賛する。
製造業を中心にさまざまな顧客のニーズを聞く立場にあるサイボウズの南崎氏は、「製造業に限らず、購買部門の納期確認はどこも頭の痛い問題。大野さんのアプリはこのクリティカルな課題を解決する革命的なアプリなんです」と絶賛する。
どのような点が革命的なのか? 定期的な発注、決まったサプライヤーであればともかく、3ヶ月や半年に1回という頻度の発注、たまにしか頼まないサプライヤーの場合、連絡先を探すのですら大変。発注まではシステム化されている会社も多いが、納期確認に関しては紙とExcelでがんばっている会社も多いという。「経営陣も、情シスも、業務の内容と現状が見えにくいため、システム化して解決しようという発想に至ることが少ない」という南崎氏の指摘に対して、大野氏は「刺さるわー(笑)」とコメントする。
安定した納期での原材料の調達は、購買部門が日々努力によって実現されている。しかし、ふとした情報の伝達ミスで、現場に原材料がないという事態が起こったら、果たしてどうだろう? 「製造当日に現場から『原材料がないんだけど(怒)』という電話がかかってきて、真っ青になって確認したら、納期回答がなかったという現場は多いと思います。僕はベトナムまで日帰りで材料持っていったことあります(笑)」と南崎氏は語る。
南崎氏は「クリティカル」と言うのも、この購買部門の業務が実は製造業の根幹にあたるからだ。「製造業って原材料がないとものづくりできません。原材料が納期通りに入荷するというのは、当たり前だけどとても重要なことです。もし遅れたら、作ったはいいが、売れないという機会損失が発生します。逆に納期通りに納められることは、営業からするとうれしいし、会社の信頼度につながります。だから、この納期確認の精度をkintoneで高められたというのは、本当にうれしいです」と語る。
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