作家・市居愛さんが「世界一周」「海外移住」を実現させた「ジャーナリング(書く習慣)」とは?
ジャーナリング(書く習慣)を知っていますか? 「聞いたことはあるけれど、効果がよくわからない」という声も多いジャーナリングですが「なぜそう感じたのか」「本当はどうしたいのか」を書き出し、自己理解を深める手法として、今注目されています。
起業家・作家の市居愛さんは、実際にジャーナリングで「自分と対話」を重ね、世界一周や海外移住を実現させた一人です。親の猛反対、周囲の否定的な声、自分自身の迷いがある中、葛藤をどう乗り越え、決断・行動できたのか。今回は市居さんに当時のジャーナリングの具体例を伺いました。(シリーズ1/3)
日記とジャーナリングの違いとは?
ジャーナリングとは紙に自分の考えを書き出していく手法です。そのジャーナリングを行い、「世界一周」や「海外移住」を実現させた市居愛さんに、まずは日記とジャーナリングの違いを聞きました。
「日記は『こんなことがあった』という記録ですが、ジャーナリングは『なぜそう感じたのか』『自分はどうしたいのか』を書く、自己理解のための手法です。感情だけでなく、未来に向けて『これからどうしたいのか』も書いていきます。
私の場合、どんな決断をする時も、ジャーナリングで自分と対話をしてきました。『悲しい』『混乱している』など、ごちゃごちゃした気持ちに気づき、そのまま書き続けると、自然と『今、本当はどうしたい?』という問いにたどり着きます。
自分の中にある感情を全部出してから問いかける。そして大事なのは、過去ではなく『今』の自分に聞くこと。この『今、本当はどうしたい?』という問いが、どんな場面でも私に決断力と行動力を与えてくれました」
葛藤も感情もそのまま書くジャーナリング。その後、起業を選択
産後30代でメニエール病を発症し退職、同時期に夫の会社も倒産して夫婦ともに無職を経験した市居さん。満身創痍だった市居さんが起業を決断するに至ったきっかけも、ジャーナリングでした。
「これからどうしていくのか。就職、パート+副業、起業など、ノートにさまざまな選択肢を書き出し、1ヶ月間は自由に考えを書くと決めました。当時のノートには、葛藤がそのまま記されています。
『今日は体調がイマイチでやる気のない1日。ゆっくり休めているといえばそうともいえるけど、本当はもっとお金を稼ぎたい』
『体調を第一に、子供の成長を楽しみながら普通に暮らせれば十分じゃないか』
『なんだかんだと言って一番大切にしたいのは、感動と涙と勇気と希望、ワクワク。限りある時間に一生懸命燃えることをやりたい』
書き出している間は、ゆっくり過ごしたい気持ちと、何かに夢中になりたい気持ちが揺れ動いていました。同時に、夫へのイライラも書き出していて。でも書き続けるうちに、自分や家族の傾向が見えてきました。1週間も書き続けると霧が晴れたように気持ちが落ち着き、前向きな言葉が出てくるんです。
最終的には『今、本当はどうしたい?』と自分に問いかけ、本心を信じると決め、起業を選択しました。6ヶ月間で会社員と同じ給料を稼げなければ就職すると期日も設けました。
当時、ベビーマッサージブームが来ていたものの、オンライン講座を提供している協会はありませんでした。私自身、親子支援がしたいという想いがあり、日本初の通信講座を立ち上げることに。6万円の講座を5人に提供し、講師を輩出するという目標を立て、教材作りから完全通信受講の仕組みづくりまで、一から構築していきました。結果、6ヶ月で会社員時代と同じ給料を稼ぐことができ、目標を達成しました」
「偶然」を「チャンス」に変えて、海外セミナーを実現
数年後、ベビーマッサージ事業が軌道に乗り、著書『お金を整える』も発売した市居さん。「海外でもお金を整えるセミナーをやりたい」そう考え始めた矢先、驚きの連鎖が起きたといいます。
「海外セミナーで活躍する方を見て『私もやってみたいな』とノートに書き、その方のコーディネーターを調べました。すると数日後、まさにそのコーディネーターから突然SNSで友達申請とご挨拶のメッセージが届いたんです。普段なら返事をしませんが、その時はなぜか返事をしました。
そして翌日、400名規模のセミナー会場に行くと、受付の近くにその方が立っていました。SNSで顔写真もみていたので、すぐにお互い気づきました。思わず『海外セミナーをやりたいと思っていたんです!』と話すと、『私も呼びたいです!』と言ってくれました。さらに驚くことに、私たちは徒歩10分圏内に住んでいたんです。数ヶ月後には海外セミナーが実現しました。
綿密に準備した結果ではなく、ノートに書いた矢先に起きた偶然の連鎖。でも急展開に事が進むと、不安も感じます。当時のノートには『すごい展開になってきて、自分でもびびってるんですけど』『勝手に動き出したら周りのみんなに怒られるかな。でもやりたいもんな。どうしよう、言わなきゃな』と書いていました。
日々『今、本当はどうしたい?』と問いかけていたからこそ、本心を大切にできるようになっていました。自分と対話していなかったら、この『偶然』をチャンスに変えることもなかったと思います」
最も悩んだ世界一周の決断
さらに数年後、市居さんはまた新たな夢を実現することになります。
「あるワークで『パッションを感じること』を問われ、家族と感動を共有することが一番だと書きました。何の感動かを掘り下げると『世界一周』という答えに辿り着きました。家族で世界一周という夢は、以前から『やりたいことリスト』に入っていて、行きたい場所もノートに書いてありました。
ただ、実現までの道のりは簡単ではありませんでした。親は猛反対。ママ友にも『そんな時期に学校を長く休ませて大丈夫なの?勉強はどうするの?』といわれ落ち込み、その時の出来事や自分の感情を全て書いていきました。
その後、『親はこう言っている。親の立場はこう。でも私はずっと行きたいと思っている。子どもたちも、いくつかの国の学校に通うこともできる。私たち夫婦は、世界一周に向けてどこでも仕事ができるようリモートワークにシフトしてきた。むしろ海外のセミナーにも参加して、仕事の幅も広げていける。収入維持は自分との約束にする。ここまで準備してきたのに、このまま行かないままで後悔しない?』と自問自答を続けました。最後はやはり『今、本当はどうしたい?』という問いを立て、世界一周を決意しました。
もしジャーナリングをしていなかったら、周りの声や自分自身のネガティブな思考に引きずられていたはず。何を感じ、考えているのか客観的に見えなくなり、『周りが反対してるから無理か。夢物語だよなぁ』と諦めていたと思います」
海外移住と帰国の判断。不甲斐なさもジャーナリングで手放す
8か月にわたる世界一周を終え、日本で穏やかに過ごしていた市居さん。しかしまた、長く海外に行くことになります。
「息子が学校に行けない時期があり、『海外の学校だったら行けるかも』という言葉をきっかけに、翌年マレーシアへ移住しました。『海外移住』の夢も、以前からノートに書いていたんです。海外でも仕事が続けられましたし、むしろ仕事の幅も広がって。2年間生活した後、家族それぞれのタイミングもあり帰国しましたが、実はその時も少し悩んでいました。
『帰国するのは、家族みんなの決断。でも英語力はあまり伸びなかったし、海外セミナーもそれほどできなかった。不甲斐ない…。まぁ、海外が身近に感じられたことがこの2年で手に入れた最大のギフト。今帰っても、また来たいと思えば、その日の夜の便ですぐ来れるんだからいいじゃないか』
一度手に入れたものを手放す時、執着してしまうこともあります。そんな時にもジャーナリングは役立ちます。親友に弱音を吐き出した時のように『私のこの不甲斐ない気持ちを言えた・わかってくれた』と、すっきりできるんです。そして自分に『本音をいって大丈夫だよ』と思えるようになることで、家族や大切な人にも本当の意味で『大丈夫』と言えるようになります」
華々しい結果だけを見ると、「その人だからできた話」に感じてしまいます。しかし市居さんも、一つひとつの場面で悩み、不安を抱え、葛藤していました。それでも一歩ずつ前に進めたのは、ジャーナリングで「今、本当はどうしたい?」と自分に問い続けたからです。ではなぜ、ジャーナリングはこれほどまでに市居さんの人生を支えられたのでしょうか。次回は、より詳しいジャーナリングのやり方と効果を解説します。
Profile:市居愛
いちい・あい/株式会社マザーミー代表、作家、2児の母。
31歳のときに育児と仕事のストレスから身体を壊し、メニエール病を発症。 リーマンショックの影響で夫の会社も倒産。子どもを抱えながら、夫婦無職でお金がない恐怖を体験する。 「お金の通り道」を整えることで、ムダな出費が自然と減り、お金が貯まりだすことに気づき、その経験をもとに刊行した著書『お金を整える』(サンマーク出版)はベストセラーに。 現在は、ジャーナリングを活用した「人生を変える気づき」を届ける活動に力を入れている。 願望を現実にする考え方や、自分らしい生き方を見つける方法を伝え、これまでに1万人以上の女性が夢を叶えるサポートをしてきた。講演・セミナーも多数開催。 著書 『お金を整える』(サンマーク出版) 『「お金じょうずさん」の小さな習慣』(PHP研究所) 『ヒル先生、「思考は現実化する」って本当ですか?』(PHP研究所)など
市居さんのInstagramはこちら。
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