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マルテー大塚とライトアップの「kintone×AI連携」実践例

初手“キラーAI”ではなく“現場の困りごと”から kintoneを土台に小さく始めるAI民主化のススメ

2026年03月06日 12時00分更新

文● 柳谷智宣 編集● 福澤/TECH.ASCII.jp

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小さな課題の解消から300社導入の新サービスに ―― ライトアップのFrontAgent活用術

 次に登壇したのはライトアップのセールスコンサルティング局 執行役員である小口裕也氏だ。同社は、「全国、すべての中小企業を黒字にする」をミッションに掲げ、10万社以上のDX支援を手掛けている。

ライトアップ セールスコンサルティング局 執行役員 小口裕也氏

 同社がAI活用に着手したのは、議事録作成の負担が大きくなっていたことが発端だ。コロナ禍でオンライン会議が主流となり、1人あたりの商談数が倍増。その結果、議事録の付帯業務に1人あたり月20時間もの時間が奪われていた。

 この課題を解決するために導入したのが、Umee Technologiesが提供する「Front Agent」である。オンラインや対面の会議を録音するだけで、議事録をkintoneに自動格納。会議内で発生したタスクの一覧化やAI要約なども可能だ。導入効果は絶大で、初月から議事録にかかっていた作業を20時間からゼロに削減した。従業員の満足度も上がり、「言った言わない」のトラブルも減少。結果、質の高い商談につながり、解約率も改善されている。

FrontAgentで初月から月20時間の削減

 だが、営業革命はここで終わらない。Front Agentによってkintoneに蓄積され始めた大量の営業データを活かし、顧客インサイトの発掘に乗り出した。受注率の高いトップ営業の感覚的なノウハウを解析。これを共有することで、営業チーム全体の契約率が向上し、属人化からの脱却にも成功している。

蓄積したデータからトップ営業のノウハウを社内共有

 さらにChatGPT登場を受けて、蓄積してきた100万件の営業データと、20年間の支援実績で得た500万件の法人企業データベースを掛け合わせることを決断する。Google CloudのBigQueryにより巨大なデータ基盤を構築。この基盤と生成AIを組み合わせて、アプローチすべき企業を“受注期待スコア”付きで可視化する営業BPOサービス「インサイトセールス」を生み出した。同サービスはわずか1年で300社に導入され、累計売上は4億円に達している。

 小口氏は、「このサービスでは、仕組み化された営業として、利用企業が増えるほどAIの精度が上がり、結果、成果も向上します。すべては議事録から始まりました。小さな課題を解決していくことで、大きな成果につながった成功事例です」と語った。

生成AIを活用した新サービスは1年目から大きな結果

kintone×AIを使いこなすための5つの鍵

 マルテー大塚とライトアップの事例を踏まえ、サイボウズ佐藤氏は、「kintone×AI」を活用する上での5つのポイントをまとめる。ひとつ目は、「業務フローにAIを組み込むこと」。AIを単体で使うのではなく、業務プロセスに自然に組み込むことで、誰もが使いこなせるようになる。

 2つ目は、「データがAI活用の鍵」であること。AIで成果を出すには企業独自のビジネスデータが不可欠であり、そのデータを整える基盤としてkintoneが寄与する。3つ目は、kintoneは「多様なAI連携の土台になる」ことだ。前述したようkintoneには多様なAI連携が用意され、さまざまな価値を生み出せる。

 4つ目は、「現場単位で小さく始める」こと。マルテー大塚のように、いきなり全社展開を目指すのではなく、「ここなら勝てる」という小さな成功体験を積み重ねる。最後は、「運用・改善サイクルが早い」こと。kintoneではAI連携もノーコードでカスタマイズでき、現場のフィードバックを即座に反映して、高速で改善サイクルを回すことができる。

kintone×AI活用の5つのポイント

 最後に佐藤氏は、「AIを民主化せよ」という言葉を持ち帰って欲しいと、力強く語った。

 本セッションでは、AIは、現場の実務と結びつくことで真価を発揮すると繰り返し強調されている。マルテー大塚の「整える仕事」からのスモールスタートも、ライトアップの「議事録」から始まった営業革命も、現場の課題から始まっている。

 いきなり全社的な「キラーAI」を目指して挫折するのではなく、まずは手の届く“困りごと”を解決することが、AIを組織に根付かせる確かな道筋となる。佐藤氏が強調した「AIを民主化せよ」という言葉は、AIという強力な武器を現場の隅々まで届かせ、誰もが使いこなせる環境を整えることこそが、変革の原動力になるという力強いメッセージだ。

AIを民主化せよ

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