伴走支援から大規模開発まで、自社に最適なkintoneパートナーを見つける方法
なぜ大企業でkintoneの導入が増えているのか? DX推進と「脱・属人化」を実現するエンプラパートナーに聞いた
2026年02月27日 09時00分更新
kintoneを導入したエンタープライズでどのような価値が生まれたのか?
続いて、kintoneエンタープライズパートナーはエンタープライズ企業に対してどんな価値を提供できるのか? 具体的な事例や各社の強みを聞いてみた。
M-SOLUTIONSはユーザー企業の伴走支援より、kintoneの開発を主眼に置いている。M-SOLUTIONS SI営業部の吉田賢士氏は、「われわれに来る案件は、要件がカッチリ決まっているか、あるいは全然決まっていないかで二分化しています。決まっているようで決まっていないというのもよくあります」と語る。そのため、要件が決まっている企業向けにはアプリの開発を手がけ、要件が決まっていない企業向けは、いっしょに要件を作るところから始めるという。
もちろん内製化のニーズもあるが、「現場部門の内製化を推進したいというニーズよりは、情報システム部ではマンパワーが足りないので、外部に開発パートナーを持ちたいと声に答えることが多いです」と植草氏は語る。情報システム部の拡張開発組織としてM-SOLUTIONSに依頼するというパターンというわけだ。
具体的な事例としてはメディア企業のKADOKAWAが挙げられる。ここでは第一フェーズでまずはM-SOLUTIONSがkintoneシステムを開発し、第二フェーズの改善アプローチで、定額制の追加開発を請け負うというパターンだった。「お客さまの情報システム部の拡張部隊として部門システムを改善したり、増やしたりということが多いです」と植草氏は語る。
元々エンタープライズのお客様へ複合機などを販売してきたリコージャパンの場合は、総務・情シス部門に強く、商材も複合機、ファクス、OA用品まで幅広いという特徴がある。「紙が業務で活躍する時代は業務に役立つ複合機やファクスをご提案してまいりましたが、デジタル化が進んだ現在はツールがITに変わりつつあるということです。ただ、まだまだデジタル化に課題があるお客さまも多いので、一緒に伴走し、DXのキッカケにしていただくのがわれわれの役割だと思っています」と藤澤氏は語る。
幅広い商材のうちの1つと言えるkintoneだが、リコージャパンはCYBOZU AWARDで13年連続受賞を誇るほか、無償のカスタマーサクセスサービス、有償の伴走支援サービス・対面開発も手がけている。「北海道から沖縄まで全国津々浦々をカバーしていますし、ライセンス販売に関しては北米、南米、アジアでも行なっています。エンタープライズならではの展開力について行けるのは大きいアピール材料だと考えています」と藤澤氏は語る。
アールスリーインスティテュートは、一貫して「作って終わりではない」という継続的な業務改善や利用の拡大を提案してきた。井上氏は、「キミノマホロでは、エンタープライズに限らず、業務改善の目的を決めたり、現在の業務整理、プロジェクトの進め方から議論を始めることが多いです。漠然とした要望に対しても、業務改善へと進めるためのメニューが用意されています」と語る。
kintoneで作るモノが明確になり、内製化を志向する場合は、伴走支援を提供。開発が難しい場合は、アールスリーインスティテュートが開発を担当するという切り分けを行なう。エンタープライズ企業の場合は、こうした議論と並行して、ガバナンスや管理についても決めていく。
こうして議論を深めていくと、エンタープライズ企業でも「自社の常識に囚われているのではないか」「他社はもっとオープンなのではないか」という迷いを抱えた人も多いという。井上氏は、「kintoneシステムの構築に果たしてどのような意味があるのか、ある意味われわれは第三者目線で見ることができます。だから、必要のないものはきちんと必要ないですよねと言いますし、別の方法も提案します。こうすることで、われわれがシステム開発に介在する意味を認めてもらっています」と語る。
エンタープライズ企業に必要なセキュリティ、トランザクション、組織間ギャップの解消
次に聞いたのは、エンタープライズ企業特有の要件だ。kintoneを提案するに当たっては、パートナーにはどのような要件が重要になるのだろうか?
リコージャパンの藤澤氏は、「提案の際にユーザー企業から『セキュリティチェック』が求められます」とコメントする。この課題に対してリコージャパンでは、まずサイボウズと共同で制作したセキュリティチェックシートを用意している。また、「お客様組織内での展開時にぶつかる壁」については、カスタマーサクセスチームを構成し、ユーザーを支援。kintoneの活用をトータルでサポートするkintone支援センターが有償伴走サービスや対面開発を行なうことも可能で、特にエンタープライズのお客様で求められるガバナンスに関しては「ガバナンスガイドライン策定支援サービス」によって、ユーザーへのコンサルティングを提供している。
藤澤氏は、サイボウズへの期待として、エンタープライズ企業で必要な信頼性やセキュリティの強化に期待する。「たとえば、アカウントのメールアドレスを見えないようにするといったニーズはエンタープライズならではの要件があります。信頼性やセキュリティという観点でサイボウズ側にお願いしたい」と語る。
導入効果の見える化も重要だという。「エンタープライズはIT管理者が決裁権を持っているわけではないので、上司や経営者を説得しなければ導入に至りません。ですから、導入効果を見えやすくしたり、上司に理解してもらいやすい管理者向けの機能を充実させる必要があると思います」と藤澤氏は語る。
M-SOLUTIONSの植草氏は前述の課題に加え、通常のkintoneでさばききれないトランザクションへの対応を挙げる。「100~200万レコードの商品を扱うケースも多いので、その場合はkintoneとクラウドサービスを連携します。事業部からの見た目はkintoneなんだけど、バックエンドはトランザクションをさばけるクラウドで構築します」とのこと。さらにエンタープライズ案件で多い基幹システムや他システムとの連携もM-SOLUTIONSで担うことが多いという。
アールスリーインスティテュートの井上氏は、現場部門と情シスでのスピード感の差を課題として挙げる。「エンタープライズの情シスは基幹システムの運用管理も担当しているので、基本的に多忙です。ガバナンスも意識しないといけないので、すぐに利用したい現場部門とスピード感の差が生まれてしまいます。スピーディに業務改善できるkintoneのよさが削がれてしまうことが多いんです」と指摘する。
その点、キミノマホロでは「IT部門と現場部門のハブになる」という役割で、両者を調整することが多いという。両者のニーズを理解し、お互いの意見を翻訳することで、組織全体のガバナンスとノーコードのスピード感を両立させているという。「使っている言語や体制が違うだけで、よくよく聞いてみると、両者の方向性は違うわけではないことも多い。そこのボタンの掛け違いをなくしていくことが重要だと思っています」(井上氏)。








